会計士高橋徹

@Takoyaki2210

第1話 新たな旅立ち

都会の喧騒と共に、新宿駅のホームは人々でごった返していた。その中を一人の若者が、黒いスーツに身を包んで歩いている。彼の名は高橋徹(たかはしとおる)、24歳。大学を卒業し、晴れて大手会計事務所に就職したばかりの新人会計士だ。緊張と期待を胸に秘め、彼は今日から新しい職場へと向かう。


新宿駅を出て、オフィスビルの群れの中にある一棟のビルへと足を踏み入れる。そこが彼の新しい職場、鈴木会計事務所だった。エレベーターで10階に到着すると、受付の女性がにっこりと微笑んで迎えてくれた。


「おはようございます、高橋さんですね。こちらへどうぞ。」


受付の案内に従い、彼は所長室へと案内された。ドアをノックし、中から威厳のある声が返ってくる。


「どうぞ。」


扉を開けると、そこには白髪混じりの紳士、鈴木所長が座っていた。鋭い目つきと柔和な表情が印象的だった。


「高橋君、ようこそ。今日から君も我々の仲間だ。よろしく頼む。」


「はい、よろしくお願いします!」


緊張で硬くなった体を少しほぐし、彼は所長に深く一礼した。


所長室を出ると、先輩会計士の山田(やまだ)が彼を迎えに来ていた。山田は30代半ばの男性で、穏やかな笑顔が印象的だった。


「高橋君、初めまして。今日から君の指導役を務める山田です。よろしく。」


「よろしくお願いします!」


山田の案内でオフィスを一巡した後、彼は自分のデスクに着いた。隣には同期の佐藤真奈美(さとうまなみ)が既に座っていた。彼女もまた、新人会計士として今日からこの事務所で働く仲間だった。


「高橋さん、よろしくお願いします!」


「こちらこそ、よろしくお願いします!」


二人は緊張の中にも笑顔を交わし、新しいスタートを切ったのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る