実録 某高齢者介護施設の日記

第3話 ちょっと待ってのキャサリンさん

「キャサリンさん、洗面所空きましたよ。歯磨き、行ってきてくださいね」

食後、歯磨きをしてもらう為に、職員が声を掛けるのですが……

キャサリンさんのお返事は、必ず「ちょっと、ちょっと待ってくださーい」なのです。

夕飯後が特にそうなのですが、キャサリンさんの中では『夕食後の歯磨き＋洗顔の後は即就寝』のイメージ。私も歯磨きは就寝直前にすることが多いので、キャサリンさんの言い分は物凄く分かるのですが(苦笑)。食後拒否があまりに強くない限り、食直後に口腔ケアを行ってもらいます。

毎回毎回、同じやり取り……を、続けて5年。でも、こちらも何とか上手い促し方、声の掛け方を考えて頑張っております。

キャサリンさんは明るい性格で、とてもおしゃべり好き。同じテーブルに座っている利用者さまたちに話題を振って、会話を盛り上げてくれます。

ご本人曰く『昔ねえ、小さい可愛い○○さんっていう、おばあちゃんがいて。○○さん、私がここ(施設)に入ったばかりの時、いっぱい話し掛けてくれたんだよ。○○さんには、良くしてもらったよ～』と。当時、気に掛けて、たくさん声を掛けてくれた利用者さまをリスペクトしているようです。

キャサリンさんは、ご自身で「キャサリンさんはここ(施設)で一番うるさいでしょ(笑)。もー、本当おしゃべりなキャサリンさんだよ、あはは！」と、よく仰（おっしゃ）います。

私は「良いんですよ～。キャサリンさんが急に静かーになっちゃったら、私たち心配しちゃいますよ(笑)」と。「明るくて、おしゃべりなところが良いんですよ！」と、いつも伝えています。