第2話 始まり
私は光が道標と言われ黒い靄の中、光を探す。
(見つけた! 光だわ)
光の方角へ走る。
意識が浮上し目をカッと開きます。
人、人、人。
ゲームの世界に入り周囲を見渡す。街の噴水広場には多くのNPCとプレイヤーが行き交っている。
その光景に感動し思わず立ち尽くす。
「これが〈アーケインフロンティア〉の世界ですか…」
自分の姿を確認するためにステータス画面を開く。
金髪に山羊の角に膝までの山羊脚、赤い瞳に褐色の肌。赤縁眼鏡に癖毛。自分のキャラクターの姿に興奮が入り混じる。
初期服 【フード付き・レディースマント】(腕までの長さ)〈ワインレッド〉
【オープンショルダー】(肩出し服)〈黒〉
【ハイウェスト・デニムショートパンツ】〈黒〉
※下着も決めれます。(最初キャラメイクしようとしたら陰キャのリアルな私の身体の全裸だったため急いで身体をカスタマイズし上下黒という汚れても大丈夫な下着を選択した)
「まるでコスプレしたギャルみたい…でも悪くないですね」
ギルドホールに向かい何をすべきかを考える。
初めての冒険に対する期待と不安が入り混じり胸が高鳴る。
プレイヤーはヒューマンから鬼人、吸血鬼、獣人、エルフなどとにかく言葉じゃ言えない感動があります。
では、早速。
(何をしたら良いのか分からないのでギルドホールへ向かいましょう)
【噴水広場】という初期地点からそう遠く無い赤い屋根が特徴の扉が開けた外観のでっかい建物。
とりあえず並びます。
人が多く初日なのでごった返してます。
私はギルドホールの受付に向かうと受付係嬢が優しく微笑んで迎えてくれた。
「こんにちはチュートリアルが必要でしょうか?」
「あー••••••えっと多分要りません」
少し考えてから答える。
受付嬢は頷き次の質問を投げかける。「分かりました。他に何かご質問はありますか?」
「アナタのお名前をお聞きしても大丈夫でしょうか?」
受付嬢は一瞬驚いたような表情を見せたがすぐに微笑み直す。
「ええもちろん。私はスグリです。フィールドは西門から出てすぐそこですよ。門を出るにはギルドカードの発行が必要です」
「では発行をお願いします」
スグリは端末に何か入力し始めた。
少しの沈黙が流れる。
「お手数ですがこの水晶に触れてください」
彼女が水晶を差し出す。
指先で水晶に触れるとひんやりとした感触が伝わる。
時折、ピリッとした音が鳴り響く。
「発行が完了しました、ネズ様こちらがギルドカードになります」
スグリはカードを手渡してくれる。
「ありがとうございます、スグリさん」
私はギルドホールを出るとMAPを取り出し(ここら辺は他のVRゲームと変わらないんですね)と感心しながら始まりの街【セラフィム】から出ようと思います。
門番の前でギルドカードを提示します。
「確認しました、夜の21時を過ぎると強制的に門は閉じます。その間までに戻るか野宿はあまりオススメしませんが、宿を取るのが一番でしょう」
「ありがとうございます、お名前をお聞きしても大丈夫でしょうか?」
「••••••ローレンです」
街を出て、草むらに居るスライム目掛けて矢を放ちます。
三本目でやっと当たりました。
スライムがジャンプしながらのっそのっそと近づいて来ます。
スライムが飛ばした水はこの距離なら難なく避けられます。
当たった木が粉砕されているのは、見なかった事にしましょう。
そのまま逃げながら弓を放ちます。全然当たらない!
一本目が当たり、よっしゃと心の中で叫びます。
これに弓矢の角度を合わせて、
狙い撃ちます。
一本目が入り、二本目、三本目が入るのは爽快感があります。
「うっし! 入りました! トドメの」
最後の一本でスライムは完全に消失しました。
〈スライムを倒しました。スライムの粘液を獲得。種族Lv1からLv2へと上がります〉
〈スキルの獲得には特定の訓練やクエストの完了が必要です。例えば【射撃】スキルを獲得するためには、射撃訓練を受けるか一定数の遠距離攻撃を成功させる必要があります〉
私がスライムを倒した後、ステータス画面を確認すると、新しいスキルの欄に「【射撃】 (未解放)」という文字が表示されていました。
「スキルがまだ未解放みたいですね、どうやったら使えるようになるんだろう?」
ゲーム内での戦闘は弓を構えて敵を狙う瞬間の緊張感や魔法を発動する際の奇跡的な光景がリアルに描かれています。プレイヤーはこれらの瞬間を通じて自分が本当にその世界に存在しているかのような感覚を得る。
ゲームのインターフェースは直感的でプレイヤーがクエストやアイテムを管理する際もストレスなく操作できマップはリアルタイムで更新されプレイヤーが探索する範囲やNPCの位置が明確に示されます。これによりプレイヤーはゲームの世界に没頭しやすくなる。
ギルドホールに戻り受付のスグリさんに相談する。
「スグリさんスキルの【射撃】が未解放のままなんですけどどうすればいいですか?」
スグリは少し考えるように目を細めてから答えた。「それは訓練場で訓練を受けるか一定数の遠距離攻撃を成功させることで解放されますよ。訓練場はギルドホールの地下にあります」
私は地下に向かい訓練場での訓練を受けることにしました。訓練場で数時間の練習を続け的に矢を放ち続けた結果ようやく【射撃】スキルが解放されました。
「やった! これでようやく射撃が使える!」
私はギルドホールへと引き返します。
「よっ、スグリさん」
受付に戻るとちょうどその時スグリさんが他のNPCと話しているのが見えました。
「アレメリアどうしたのよ珍しいじゃない」
スグリが親しげに話しかける。
アレメリアと呼ばれたNPCの戦士は少し緊張した様子で答えた。
「いやさー冒険者たちの指導にあたってるんだけど」
スグリは軽く笑って「あなたは相変わらずの人好きね。それより何かあったの?」
アレメリアは真剣な表情で話を続ける。「実は女神フロンティアが何か重要なメッセージを送ってきたらしいんだ。冒険者たちに注意を促してほしいって」
スグリは一瞬驚いた表情を見せたがすぐに真剣な顔に戻った。
「それは確かなの?」
アレメリアは力強く頷いた。
「ああ女神フロンティアの名にかけて誓っても良い」
スグリは深く息を吸い込み静かに頷いた。
「なら私も考えないといけないわね」
アレメリアは安堵した表情でうなずきました。
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