大魔法project
@smk_
第0話「始まりの魔法使い」
幼い黒髪の子供と白い長髪を揺らす女性が一枚の布団で枕を並べている。親子よりも近く、姉弟にしては遠い。そんな年の差に見えた。
「ねえ、フウナ。はじまりのまほうつかいのおはなしして!」
橙色に輝き浮かぶ光の下で幼子はせがんだ。
「いいわ、寝物語に話してあげましょう。マシロはこの話が本当に好きね」
白髪の彼女は語り始めた。
むかしむかし、世界はたくさんの島に別れていました。ある小さな島の1つしかない村で飢饉が起こりました。大嵐が島を襲ったのです。
嵐は10日経っても収まること無く藁で出来た建物は壊れ作物は腐り百人ばかりの村人達は、餓えに苦しみ死んでいきました。
村人達はこれは神の怒りだと考えました。誰かを生け贄に出そう。誰を出す誰を出す、みな押し付けあい村長の双子の娘の妹が選ばれました。まだ年は10才にもなっていませんでした。
しかし元々身体の弱かった双子の姉は自分が妹の代わりになると言いました。そう言うように周りに仕向けられたのです。
村の人々はこれは無理矢理ではない。彼女の意志で生け贄になるのだとそう思いたかったのです。
彼女は荒れ狂う海に向かって歩いていきました。
すると不思議なことが起こりました。彼女の身体が光輝き海を歩いたのです。そして海の向こうから大地が現れました。
彼女は自分の死を避ける為に魔法の力に目覚めたのです。人々はそれを神の力と呼びました。
そして彼女の力を利用し世界中の島々を1つの大陸にしました。
彼女の力で人も富も全てが思いのままでした。彼らは力に狂いました。
父である村長はその武力を使い世界中の村を統一し王となりました。
彼らの圧倒的な力の前にもう刃向かうものは居なくなったのでした。
そうした功績から彼女は始まりの魔法使いと呼ばれるようになりました。
しかし彼らには恐れるものがありました。始まりの魔法使いの力です。あの時生け贄にしようとした復讐をいつされるかわからない。だから彼らは計略をめぐらし、彼女を殺してしまいました。
彼女が死んだ後、唯一の巨大大陸大陸パンゲア、唯一の国ルクススペイと始まりの魔法使いの心臓であるマギアハートが残されました。
ですが彼らは魔法がない生活には戻れませんでした。
魔法使いが生まれては始まりの魔法使いのマギアハートに捧げ、魔力を絶やさぬようにしてきました。
魔法使い達も生きるため人々と戦いました。
この世界の歴史は人間と魔法使いの争いの歴史なのです。
おしまい、おしまい。
幼子は寝息を立てている。話の途中でどうやら寝てしまったようだ。白髪の女性は幼子に毛布をかけ直した。
「おやすみ…マシロ。いい夢を」
彼女が左手を伸ばすと橙色の光はその手に集まった。彼女はそれに息を静かに吹き掛け、光は暗闇に消えた。
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