宇宙(そら)を舞う

呉根 詩門


一面の漆黒に輝く星々、その中の虹色に輝く一つが灰色の大地に降り落ちた。


− そう 物語は ここから 始った –


僕は、どこから来たのだろう?分からない。ただ目の前に広がるのは、草木も生えてない灰色の無機質な大地と、頭上には、漆黒の世界に数多の色とりどりの星々が煌めいてるだけだった。そもそも、僕は


− 誰だ? –


ただ、僕の心は、まるで強迫観念の様に、前へ前へと進まなければならないと、訴えていた。行かなくては


− しかし どこへ? –


僕は、ふらつく足をどこへ向かうのは分からないまま、ひたすら前へ前へと進めていた。急がなくては


− なぜ? –


混濁した頭を抱えたまま、僕は前へ歩いているはずなのに、少しも、真っ直ぐに歩けなかった。ただ、一歩、一歩進む度に、足元の砂利が不吉な音を立てて、尚更僕を不安にさせた。



一体、どれくらい歩いたのだろう?もう、数時間歩いていたのかもしれない。いや、本当はたったの数分の事だったのかもしれない。視線を、広大な夜空に向けた途端、強烈な頭痛に襲われて、僕の視界真っ黒になった。


–−–−–


今日も、綺麗な快晴気持ちいい


私は、窓のカーテンを開けると、きっと今日はいい事があるって、私の第六感が囁いている。


私は、顔を洗って、パジャマからジャージに着替えると、ランニングシューズを履いて「行ってきます」と言って、家を飛び出して日課の朝のジョギングを始めた。


昨夜は軽く雨が降ったのか、木々や草花が雨に濡れて、朝日に照らされて、とりわけ綺麗に私の目に映った。


いつもの時間に会う、犬の散歩をするおじいさんに元気よく


「おはようございます」


と、手を振り、おじいさんもにっこりと笑って



「おはよう、今日も元気だね。頑張ってね。」


と、いつも通りのやり取りだけど、なんだか心持ち新鮮に感じる。


うん、今日はきっといい日だ。


私は、30分かけて軽く5キロをいつものルートで走った。本当は、もっと走り込むべきなんだろけど、まだ、1日は始まったばかりだ。そんなに焦らなくてもいい。


今日はまだまだ、続くのだから。


私は、家へと戻ると、シャワーを浴びて、今日1日の気合いを入れた。


制服に着替えて、鏡を見ながら、髪を乾かして、ゴムで後ろ髪をまとめた。


うん、いつも通り、絶好調


その時、いつも通りにお母さんが


「詩(うた)ご飯よ〜」


と聞こえてきた。


さあ、始まるわ、私の新たな輝かしい一日が


−–−–


一見、全く関係のない、この二つの物語は複雑に絡み合い惹かれあって流れる。


そう


− 物語が流れ始めた –


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る