第5話:西園寺家。

公介と吉光・・・それに元子に罵倒刑事部長。

四人で西園寺家に出かけた。


大きな屋敷に頑丈そうなデカい門構え。


「成りあがりの豪勢な屋敷だな」


罵倒警部は嫌がらせみたいに言った。

俺は門の横の柱のピンポンを押した。

するとどこからか女性の声がした。


「すいません・・・警察のもんですが、ご主人はご在宅でしょうか?」


「あのご長男の洋太郎様でしょうか?」


「そうですが?」


「お坊っちゃまは、ただいまお出かけになられておりますが・・・」


「私らもお宅に遊びに来た訳じゃないんで、重要な件でお伺いしてる訳で

屋敷に入れていただいて長男さんのお帰りを待たせてもらいたい」


「分かりました・・・少々お待ちください」


しばらくすると元子くらいの歳格好のメイドさんが出てきた。


「お、か〜わいい〜」


「公介・・・鼻の下伸びてる」

「もう、スケベなんだから・・・・女なら誰でも・・・あ、安ちゃん・・・」


「あ、元ちゃん・・・どこに行ってたの?」

「元ちゃんがいなくなったから、みんな心配してたのよ」

「でも洋太郎さんはガイノイド一人行方不明になったからって騒ぐなって

取り合ってくれなかったの」


「私は大丈夫だよ・・・この人たちに助けてもらって元気してるから・・」


「そう、よかった」


「洋太郎って野郎はいちいち腹の立つやつだな、吉光・・・ったく」


公介は吐き捨てるように言った。


「許せねえな、公介・・・がぎゃふんと言わせてやろうぜ」


「とにかく中にお入りください」


公介たちはメイドの安ちゃんに案内されて屋敷の中に入れてもらった。


なんの部屋か知らないが、両サイドに部屋がたくさんあってその中央の

長い廊下を歩いて応接間の通された。

で、安ちゃんが、明かり取りのために重そうなカーテンを開いてくれた。


応接間のサッシ戸から手入れの行き届いた庭が見えた。

庭の中央に噴水なんかあって、しょんべん小僧だか天使だか子供の像が何体か

噴水に飾られていた。

だけど噴水からは水は出ておらず、公介は、水道代を節約してんのかなって思った。


「部屋の中も豪勢だな・・・これトルコ絨毯だろ?下手してタバコの灰なんか

落とした日にゃ俺の給料じゃ弁償せきねえくらいの絨毯なんじぇねえか、これ」


「バカ息子、いつ帰って来るのかな?」


吉光が言った。


すると、さっきまで応接間にいたと思った安ちゃんが俺たちに飲み物を持って

きてくれた。


「どうぞ、お紅茶でも・・・」


「安ちゃん、気が効くね・・・こんな屋敷のメイドなんかやめて俺の事務所に

来ない?」


「公介!!」


「はいはい、分かりましたよ」


「吉光・・・そのへんのもの触るなよ・・・高そうだからな、壊して弁償

なんかするのバカらしいからな」


「公介・・・1個くらいパクって帰ったってバレやしないよ」

「ディスカウントで売ったら結構な金になるんじゃないか?」


「おい、一応、俺も警察だぞ・・・窃盗は許さんからな」


「あ、そうだった罵倒さんがいるの忘れてた」


「ボケてんじゃねえぞ、吉光」


そんな会話をしていたら応接室の呼び出し音が鳴った。


「帰ったぞ・・・安奈、律子・・・出迎えを・・・」


「は〜い・・・洋太郎様がお帰りなられたようです」

「私、すぐ玄関に迎えに行ってきます」


そう言って、安ちゃんは洋太郎を迎えに応接室を出て行った。


「ようやく帰ってきやがったか・・・バカ長男が・・・」


公介はとことん洋太郎にことを嫌っていた。


つづく。





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