『マジシャン郡の端』

やましん(テンパー)

『マジシャン郡の端』 1


 『おためし、試作品です。』




 アシアン帝国の一番隅っこに、『マジシャン郡』がある。


 ここは、いわゆる魔法使いと、奇術師が住む場所で、東半分には魔法使いが、西半分には奇術師が配置されていた。


 物理法則に従うのが奇術師であり、従わないのが、魔法使いである。


 魔法使いは、かつて、遥かな宇宙からやってきた、異次元生物の子孫たちであった。


 奇術師は、むかしの、主に音楽家の子孫と言われる。


 地球人類は、700年前あたりから、音楽をほぼ、やめてしまったのである。


 理由は、今現在、わからない。


 なくなれば、無くなったで、どうなるものでもない。


 しかし、それでは、どうにもならないのが、つまり、奇術師たちである。


 いわば、社会の外れものたちだった。


 地球政府は、Ai さんがコントロールしている。


 人類は、したがうだけであるが、マジシャン郡だけは、事実上の治外法権状態にあった。


 ただし、移動の自由はなく、AIさんから呼ばれたときにだけ、マジシャン郡地域の外に出ることが可能となる。西と東の行き来だけは自由である。


 ただし、常に、バトル状態だったが。


 つまり、反対側に行くということは、戦いをしに行く、という意味であるからだ。


 戦いに勝つと、政府からポイントを貰えて、それは、買い物や、飲食に使えるのだ。強いものは、金持ちになる。また、政府から呼ばれる頻度が高まるのだ。


 ただし、魔法も、奇術も、国全体からしたら、AI 宮廷の、単なる余興にすぎなかったのだが。


 技術を磨き、AI と、それに支配された AI 人間さんたちに、見せるのである。


 それが、つまり、本番というわけである。


 が、そこはそれ、なかなか、高い評価は貰えないので、競争はし烈になる。


 Ai さんは、なにかにつけて、人類同士を戦わせることで、自然に支配するというパターンを、巧みに習得していたのである。


 しかし、マジシャン郡の中でも、一ヶ所だけ例外があった。


 それは、『巨大モール』である。


 ここは、地球上にある人類も、宇宙人も、AIも、皆等しく利用できるショッピングセンターであり、でかい、食堂街や、地球土産店もあったのだ。


 また、貧窮者向けの、簡易アパートもあり、このモールだけは、あらゆる種族の垣根がなくなる、地球で唯一の場所だったのである。


 まさに、ある人々には楽園みたいなものだった。


    

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