第10話 逃走犯

 白い蒸気が捕まっている男の口の中に入った。

大男はうめき声を上げた。

そして近くの宇宙警察管のレーザー銃を掴んだ。

「あっ!こいつ何をするんだ!」

警察官と大男は揉み合いになった。

大男は手錠をかけられているのに、怪力で警察管を持ち上げ、叩き落とした。

怪力で手錠を壊し、外した。

「うわ!ジル!あの大男、手錠を壊しちゃった。暴れている!」

「キュー。隠れろ。巻き込まれると危ない」

大男は叩きつけた警官のレーザーガンを奪い逃走した。

 辺りは騒然となり、アナウンスが響いた。

(ただ今、凶悪犯が銃を持って逃走中。皆さん、部屋に戻り避難してください。繰り返します・・)

 コングがやってきた。

「何があったんだ?ジル」

「コング。大男が銃を奪って、逃走している。俺達の前で起きたんだ。ちいは?」

「部屋にいる。怖がっている」

「キュー。ちいの所へ行ってくれ。一人じゃかわいそうだ」

「分かった。ジル。いってくる」

「これは部屋までの地図だ」コングは地図を渡した。

「じゃあ、急いで行ってくる!」

 ジルとコングは武器を持ってなかった。

ここでの武器の所持は禁止されているとアシュタールが預かっているのだ。

そこへ、ショーン捜査官がやってきた。

宇宙警察と話している。

「君たちは?一般人かね」ショーンがコング達に尋ねた。

「何か力になれないかと。戦闘なら慣れている」

「うむ・・しかし・・」

「ショーン捜査官!男の身元が分かりました。シリウス星人のバックヤーという男です。サマース星で強盗を繰り返したらしいです」

「そうか。そいつに黒の魔族の魂が乗り移ったのか。これは厄介だぞ」

「黒の魔族・・黒の魔族がいるのか?」コングが聞いた。

「そうだ。魂となり、人に乗り移る事で活動している。黒の魔族のエイリアンもいるが、魂だけのやつらもいるんだ」

 そこへアシュタールがやってきた。

「アシュタール様!」ショーンが頭を下げた。

「大変な事になりましたね。ただでさえ、凶悪な人物に黒の魔族の魂」

「はい。今、宇宙警察が追っております」

「アシュタールさん。武器を返してくれませんか?俺達も戦います」とジル。

「う~ん。もし、あなた達の武器で一般の方が怪我をされると、重い罪になるのですよ」

「何もできないのか・・」ジルはしょげた。

「この人たちは誰です?アシュタール様」

「戦闘のプロです。あのマウル星の魔族、バロンを倒したチームです」

「え!あのバロンを!そりゃすげー。よし。このバッチを渡すよ。特別捜査官の称号バッチだ。これを持っていれば、武器の所持も認められる。アシュタール様、良いですよね?」

「うむ。良いでしょう」

「ほい。バッチだ。派手に暴れてくれ!」

ジルとコングは特別捜査管になってしまった。

「もう2人分も貰えるかい?まだ仲間がいるのでね」とジル。

「まだいるのかい?では2人分」

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