本当の初配信
「...えっと、配信始まってるかな?みんな、こんシュウー!自分が課したライブ配信規定の所為で、初配信がクリスマスイブとか言うお姉ちゃんの同j―――もとい、漫画を読もうとしていた日になってど畜生運営め!とか言ってみたけど自業自得だろうとあしらわれた宵月でーす!」
12月24日、午後7時。宵月シュウカの初配信が幕を開けた。久しぶりのヴァーチャルライバーの配信ということもあってかたいていの旧眷属達は『シロ』の配信に流れ込み、同時接続者数が500程度とリアル現代換算で登録者20万程度のライバーが通常配信で動員する程度の人数を集めていた。
収益化していれば、それだけでも生活できる程度の同接数である。しかし、まあ直近12ヶ月間における有効な動画(ショート含めない)総再生時間4000時間を越えていないため、収益化はまだ遠い。
「お、旧眷属ちーっす」
『旧言うなし、配信こそないもののイア様は未だ降臨なされている!』
『それ言うならお前もやろ』
「...うっさいなぁ、もう!私は私の好きなように配信するの!」
論破されて半ば逆ギレしたシュウカに容赦ない眷属=掲示板民の単芝攻撃が浴びせられる。通常の草を生やしている奴もいれば、『ラヴィエント草』と実在しない草の名前を呟く眷属もいた。
そして、その最後のコメントをシュウカは見た。
「ラヴィエント、ね。よし、これから私のファンの名前はラヴィエントだ!...長いからラヴィ、でいい?」
『安価は絶対だろw』
『↑安価してない定期』
『ええやで』
『エントがいい』
大荒れする予感を感じたシュウカは、Yo!Tubeのアンケート機能を使うことにした。
慕う邪神が見えずとも、或る程度ならばシュウカに残っている電子生命体としての謎能力行使が可能である。その為、アンケート昨日の使い方を知らなくとも強制的に立ち上げさせることが可能なのだ。
その状態で3分きっかり経ったところで、ラヴィが67%、エントが2%、その他が35%と大幅に別れた。エントが少ないのは何故かはわからなかったが、一番多かったのが自らが選んだラヴィだったことに少しだけ笑顔を浮かべた。
その際、アンケートに答えてくれたのは同接数670に対して723と一部離れてしまった視聴者がいたことを少し残念に思ったが、佐々木優希の記憶を思い出すと実際そう言う人もいることはいるので気にしないこととした。
「ふむふむ、ラヴィの方が多い結果になったね。じゃ、私が君たちを呼ぶ時の名前はラヴィだ!よろしくね、ラヴィ!」
『おう、よろしくな眷属』
「ちーがーうーだーろー!」
自らと同じく邪神を崇め奉りし民達は、今日も元気である。
「―――じゃあ、配信始めてから30分経ったことだし質問たーいむ!どんどん質問してね!あ、でもラヴィ、君達の団結力は発揮しちゃダメ!一個一個答えていく感じだから、連投されると運営に訴えるからね!」
配信もある程度時間が経ち、シュウカは質問タイムに移ることにした。これも定番のもので、シュウカ自身は彗星の如く現れた青い髪の当時ポニテの配信者の初配信( )を参考にしているようだ。初配信はアンテだろ、とかそう言う野暮なことを言ってはいけない。
『ショタコンですか?』
「殺すぞ。―――ああ、ショタコンではないしロリコンでもないけど、ちっちゃい女の子って可愛いよね。なんだかヨシヨシしてあげたくなるって言うかたっぷり愛でてあげたい。私に偏執的な愛を見せ始めたくらいでベッドに誘って更に性癖捻じ曲げて私に対してヤンデレ化したら外に出して、一生私に服従を誓わせて私中心の百合ハーレム作りたいんだよね」
突然の長文にコメント欄はあえんびえん―――にはならずに、『草』やら『ラヴィエント草』だとか、お馴染み単芝を生やしていたラヴィもいた。まあ、今の配信を見にきている民は大抵が眷属なので。
「次のコメント!」
安価方式で、自コメ下のものの質問を受けると言う形式のこの質問コーナー。一体何を引いたんだ―――!
『俺が宵月シュウカだ!』
「あれ?いつのまにクルジス兵混じっているの?違ぁう!お前は宵月シュウカではない!」
『俺が...俺たちが宵月シュウカだ!』
「いいや、君では宵月シュウカにはなれんさ」
あれ?宵月シュウカに命でも救われたのかな?きっとその宵月シュウカはラスボスですよ。
『前世はありますか?』
「おっ、珍しいタイプの質問だね。あるよ?佐々木依在って言ってね、昔の私の肉体で今はイア様の肉体なんだ!」
『そう言うんじゃない』
『イア様の素性バレしてて草』
「あ、ちなみに今の私の姿もそれとほとんど同じだから、ぜひ見つけてみてね。ホロストリームの中でもトップでイカれてるけど」
トップ(一人しかいない)
「じゃあ、これが最後の質問かな?投下ー!」
『ウチの妹の素性荒らすのやめてもらっていいかな?それと、本当に依在だって言うんなら襲ってきたこと許さないからね?』
「あ、お姉ちゃん...。」
石灰化するほど白くなった秋華。もちろん視聴者には伝わらないが、襲ってきたことに関する質問が多く投げられた。
「...もうこの話おしまい!配信も終わり!乙月ー!」
終わり方はこんなんでよかったのか、と苦悩することになる秋華であった。
―――
『宵月シュウカ/Yoiduki Shuka ch.』
登録者1204人
―――
どうも作者です。コメントの序盤は某彗星の如く現れたスターの原石さんをベースにしようとして百合ハーレムの筆が進んでしまい、み◯ち語録の出番になりましたね。
その後は刹那・●・セイエイさんの迷言も登場しつつ、配信は終了。お年玉は一体なんなのかなー(すっとぼけ
次回、ついに年明け!『あけおめ!お年玉の記念告知いくぞー!』と言う公式チャンネルでの配信になると思われますので、ぜひお楽しみに!作者でした(^・ω・^§)ノ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます