第三話 異形からは逃れられない。

 しかし、この自分も又、逃げ出した筈の外界の一部に他ならず、一人牢に籠って外界の影響を締め出した積りであっても、自らの内に潜む異形を追い出す事は出来ず、むしろ、外界との連絡を一切断ってしまった事により、其れ迄内に隠れていた自らの異形としての部分が滲み出て来る。


 それは、気付かない内に自身を苛んで行き、逃げ込んだ先であるこの牢獄からの脱出、そう、当初はほんの気紛れで、何時か其処から出て、再び出発する為の仮の住居とする筈が、そうする気力を少しずつ、しかし確実に削って行き、何時しか想像の上での牢獄だった筈が、紛れも無い本物となって、終の棲家となる事を強いられる。


 他ならぬ自分自身の手に依って。


 

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