マニック・マンデー 1
モヤイ像の前には人が多く、どれがエイミィなのかタクミにはわからなかった。ちょっとゴスロリっぽい格好です、とLINEにはあったが、ちょっとがどのぐらいを指すのかがわからない。いかにもなゴスロリと甘ロリの二人組がいたが、あれは違うだろう。
キョロキョロしているうちに、なんだか疲れてきた。もしかしたら、騙されたのかもしれないと思えてきた。
モヤイのすぐ前にいる、「死ぬこと以外はかすり傷」の文字Tを着た小太りの男がエイミィだったりしないだろうか?
いや、それどころかもっと大勢がスネークしていて掲示板とかに晒されているのかもしれない……。
ちょんちょん、と肩を小突かれ、思わずタクミはヒッと声をあげた。振り向くと、大女がいた。身長は軽く180オーバーだろう、自分より明らかに10センチ以上大きい。
「タッキー?」
風鈴のような可愛らしくも涼しげな声だった。でかくはあるが、顔も可愛らしい。黒木華をちょっとシュッとさせたような。ショートボブの髪型も良く似合っている。明るめの栗色。歳の頃はタクミより四〜五歳上、二十代前半といったところか。服は——ゴスロリというか、モードっぽい服だった。パンツルックである。
「エイミィちゃん?」
恐る恐る訊ねると、ギュッと抱きしめられた。柔らかくも、窒息しそうになった。良い匂いがするやら苦しいやらで頭がクラクラした。本気で意識を失いそうになる寸前、エイミィがタクミの肩をつかんで引き剥がし、大丈夫かと訊ねた。
「だ、大丈夫です」
「よかった」
心底ホッとした顔をして、エイミィはニコッと微笑んだ。
「じゃあ、ホテルへ行きましょう!」
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