第80話 オッサン齢53歳にして突貫する 2
ダンジョンに入ると早速スライムの集団とコボルドの集団が争っていた。
クルーのレベルアップの事も考えて倒しやすそうなモンスターは倒していこうという話になっていた。
「モンスター同士が争いあってこちらに見向きもしないな」
「おかげで簡単に倒せますね」
「普通のダンジョンより楽じゃないか?」
千紗の言葉にそう反応する。
「特殊個体や進化個体が生まれて来たらそうも言ってられないっすよ、上手く外に行ってくれればいいっすけど、そうじゃなければ組織的に襲って来るっすから」
「それまでに少しでもレベル上がって欲しいんだが…」
村重さん以外のクルーが経験値の有効範囲まで近寄って来ない。
怖がってなかなか近づいて来ないのだ。
何処のリアクション芸人かよってぐらい大騒ぎして、なかなか近づかず結局戦闘が終わる直前くらいになんとか範囲内に入って最後の数匹分の経験値を確保。
そんな状況が続いている。
「無理矢理引きずって近くまで連れて来るっすか?」
「うん、しょうがないな、せめて10くらいには上げたい」
次の階層に続くゲートまでの最短距離を移動する。
モンスターも最短距離で外に出ようとするので当然遭遇するのだが、モンスター同士が争って居るので14階まで簡単に降りて来れた。
「待って!すごい数が向かって来てる!」
「俺が前に出る、巻き込まれないように5mの距離はキッチリとってくれ」
そう言いながら前に出る。
緑色のものが近づいて来た。
プラントモンスターだ!
「!!!、村重さん!来てくれ!」
「え?え?え?」
「村重さん、俺が言ったことと同じこと言うっす!」
「はい!」
「村重イケてる!」
「村重イケてる!」
「村重最高!」
「村重最高!」
「死ぬ事以外はかすり傷!」
「死ぬ事以外はかすり傷!」
「よし行くっす!」
「はい!」
…
…
…
「村重さん、変な宗教に捕まんなきゃいいっすけど…単純すぎるっす」
「よし来たな!あれを見ろ」
「やだ、なにあれ、怖い!」
「プラントモンスターだ!俺が時間稼ぐから使役してくれ!」
「え?植物ですよ?あれ」
「アスパラガスは漢字で“ 竜髭菜”だ!いける!」
それだけ伝えるとスーパーアーマーを発動させモンスターの群に突っ込んだ。
ウォークライでこちらに集中させて、堪える。
「どうした!出来ないなら言ってくれ!殲滅させる!」
「えっと!ちょっと待ってください!はい!いけました!」
アスパラの猛攻が止まった。
「全員使役するのは難しかったので、リーダーを使役しました」
一際大きく、お店で見るようなアスパラでは無く伸びすぎて髭のような状態になってるのが、村重さんの横にいた。
「美髯菜さんだそうです」
なんだ、その桃園の誓い結びそうな名前。
「ネームド使役したみたいっすね、ネームドは特殊個体の中でもさらに特殊で単純に強いだけじゃなくて何かしらの能力やスキル持ってる確率高いっす」
「流石、笹かまだな!これを見越してこのダンジョン選んだんだろ」
「え、全然違うっすよ、むしろアスパラって漢字で竜入るんすね、知らなかったっす」
「あれ?漢字のクイズやってたって言ってなかったか?」
「動物編で飽きちゃったんすよねぇ」
「あらら、ま、それはそれとして、美髯菜は何が出来るんだ?」
「えっと、大将軍っていう配下の能力あげて統率出来る能力と五関六将斬っていう、一撃で倒せれば5回まで攻撃力が上がる能力ですね」
能力が完全に三国志なんだけど…大丈夫か?このノリで色々出て来られたら、勝てんぞ。
「とにかく強力な味方が出来たのは間違いない、このまま進もう」
「プラントモンスターがここまで出て来てるんで、途中は大したの居ない可能性高いっすね。
急いだ方が良いっすね、強いのが生まれる前に抜けてしまう方が良いっす」
笹かまの意見を聞いて先を急ぐ。
「あ!ゾンビ同士で争ってます!」
「村重さん!」
「はい!アスパラ隊!ゴー!」
チュドーン!
「全滅っす!」
こんな光景がしばらく続く。
デカいアスパラが突進して槍のように体当たりするのがやたら強い。
相手がこっちの事を全然構って無いせいで無防備な横っ腹にブッ刺さるんだから一方的になるのも仕方がない。
なんていうか、昔の愛に目覚めると口から小型なロボットが出て来てビックリドッキリな感じで相手を倒すのがラストのクライマックスだったアニメを彷彿させる。
「勝利のポーズがしたい!」
「剣崎さんって、たまにトリップしたような事言うっすよね」
「仕方がないだろ、根っこはオタクなんだから!」
どんどん下に降りていく、途中マンゴーモンスターにリーダーが生まれて居たが、元々プラントモンスターでのボーナスモンスターと呼ばれて居るマンゴーなんで困る事はない。
高級フルーツ狩り放題状態だ。
45階までは特に問題なく降りて来られた。
「うわー、トリケラトプスだよ」
「恐竜だし、竜って付くから使役出来るんじゃない?」
「うん、出来ると思う」
千紗の質問に村重が答える。
「何頭くらい使役出来るんだ?」
「系統別に各1体だと思います。
ですから、今アスパラはこれ以上使役できません」
俺もアスパラはこれ以上使役しなくて良いと思うよ。
「なんか、ここのモンスターゲートに向かってませんね」
「下にいくほどそういう現象増えるっすよ、なんていうか自分達のボスが生まれるまで待機してるみたいな行動とる事があるっす」
「ダンジョンって例外とか、特別とか多いよな」
「しょうがないっす、まだまだ研究不足な部分あるっす、途中で変異したりする事もあるし」
「ゲート前にボスが居ますね」
「ボスは使役出来るのか?」
「やってみないと分からないです」
「じゃあ、実験するしかないな」
とりあえず俺と村重さんで近づいていく。
「あ、ダメっぽいです。使役するように念じても全然反応ないです」
「ダメかぁ」
一旦戻って全員で話し合う。
さて、どうしよう
「ここで強い個体出るの待つか、適当なのテイムするか、それすらしないでボス倒して下行くか」
「今、レベルってどんな感じっすか?」
「俺と千紗は52だな」
「47ですぜ」と、唐辛子。
佐々木と高橋は40、村重が14、他のクルーが5だった。
「レベル上げるにしても、ここじゃ半端っすねぇ」
「戦力は多いにこした事ないし適当なのでもいいから使役するか」
「はい!」
「とりあえず今日はここで野営しよう、村重さんはアスパラ隊に周辺警戒をするように言ってもらえるか?」
俺たちは目立たない場所に移動して、交代で休憩する事にした。
【後書き】
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