第70話 オッサン齢53歳にして遠征する。
ー中春別ダンジョン出発当日ー
人員募集で集まったのは6人だった。
車は3台で分乗することになった。
いわゆる、ハイエースタイプを2台と、SUVタイプ1台で、募集員6人のグループ、唐辛子、佐々木、高橋、3兄弟のグループ、俺と千紗と魅夢のグループで向かうことになった。
高速使って渋滞やトラブり無く移動できれば、だいたい7時間くらいで到着予定だ。
釧路で給油してその後は2時間以上一般道路走ることになるが、ほとんど信号がないので割と快適に走れる。
1番危ないのは鹿だな。
熊はいきなり自動車に向かって来ることはまず無い。
だが、鹿は1頭が囮になり注意を引きつけて、その間に群を逃すという習性のため、わざとに走行中の車の前に出て来ることがある。
…あれ?なんかやたらデカい鹿居なかったか?
群れのボスかな?
まぁ、いいや今は中春別だ。
目的地に着いた。
「おう!てつーよく来たな、他の奴らもご苦労、ご苦労!」
現地にはやたら態度のデカいヤツがいた。
こいつの顔見るとやっぱり帰りたくなってくる。
「とりあえず、状況教えろ」
「まぁ、ここは俺もシマだ、そこのプレハブで好きにくつろいでくれ」
お前のシマじゃねぇよ。
これは協会の受付用のプレハブだな、中に入っても誰もいない。
あいつが追い出したのか?
いや、愛想を尽かされて出て行ったの方が正解っぽいな。
笹かまに連絡する。
「なぁ、協会員誰も居ないんだけど」
「あーやっぱそうっすね、それもなんとかするんで、1日2日待って欲しいっす。
それまで勝手にダンジョン入って、好きに狩ってて欲しいっす」
「了解した」
電話を切って中田のグループと話し合いをする事にした。
あ、今気づいたけど大畑も居た。
結局、こいつらとつるんでるのか、なんだかなぁ。
「5階から順にボス教えてくれ」
「あぁ、5階はホーンラビットだな、10階はバイオレンスターキーだ」
「そうか、それで15からは?」
「あ、うーん、ホブゴブリンだな」
「20は?」
「あ、あーボムロック?」
「お前…いつもどこ狩場にしてる?」
「バイオレンスターキーの肉がよ、いい値段で売れるんだわ!」
「レアドロップじゃねぇか、4人で食えるほど狩れるのか?」
「俺たちは優秀だからな!レアドロップも普通より出す方法も知ってるんだ!まずはな…」
「…それってネットに出回ってる攻略法だよな、意味ねぇって言われてる奴じゃねぇか」
ムスっとして黙り込む。
都合悪くなると黙るよなこいつ。
「まぁ、いいわ、10階までの掃討はお前らに任せるぞ、笹かまが言うにはとにかく数減らせってのと特殊個体見つけたら必ず倒せって話だからな」
「おう!任せとけ、俺らの実力見せてやるよ!」
10階で何言ってるんだか。
「後は実際に現場見てから決めようか」
そう話し合って、ダンジョンに向かった。
15階、ボスはポイズントード。
「あの野郎、いきなり嘘じゃねぇか!」
20階、ボムロック。
「くそ、文句言っても半分当たってるから、勘違いした言って逃げられるな」
11階から20階までを掃討するか悩んでいたら、募集した人員の2人が立候補してくれたので、お願いする。
25階スケルトン、26階から大根、カボチャ、キュウリ、人参、トマトだった。
当たりのマンゴーやメロンは居なかったかがそこそこ稼げる。
ここは残り募集組4人に任せた。
「20階くらいまでは奴らに任せるつもりだったのにすっかりアテが外れた。
人員が少ないから本命の35階層以下は俺たちだけで行くしかないな」
千紗とそんな会話をしながら下に向かう。
31階がバンブートレント、そこからオークトレント、パペットプラント、ジャイアントサラセニア、ボス階はエントだった。
ここは、唐辛子、佐々木、高橋、3兄弟に任せる。
36階から40階までは、草食系の動物ゾーンだ。
牛、馬、羊、ヤギ、そしてボス階はゾウ。
獣系最強じゃねぇか!
下手な肉食系モンスターよりよっぽど強い。
モンスター化してるせいで、早いし強いし、凶暴だ。
ただ、まだ最下層から上の階への上昇は始まっていない。
今の所はどの階もセーフティゾーンに群がるモンスターを安全地帯から攻撃する簡単なお仕事と、ボス戦だけで終わる。
そこまで苦労はしない戦闘だ。
「いやー大変だった!お前らにはわからないだろうけどな!こういう氾濫兆候の時は浅い階こそ大変なんだ!俺たちじゃなきゃ結果出せないな!」
受付に戻るとそうやって偉そうにほざいてる奴がいた。
こいつ、40階まで引きずって行こうかな…。
とりあえず、中春別ダンジョンの初日は特に問題な終了した。
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