第37話 オッサン齢53歳にして懸命になる。
気合いを入れたものの、やっぱり怖いものは怖い。
もの凄い勢いで近づいてくるデュラハンをしっかりと見る。
怖いからと言って目を瞑ってしまえば防御のタイミングがわからなくなる
「うわぁぁ!ブロックゥゥ!」
車に追突された時を思い出すくらいの衝撃を必死に止めた。
「シールドバッシュ!」
突進を受け止めると、硬直するらしくその隙にシールドバッシュを叩き込む事が出来た。
相手の巨体が消える。
「なっ!ブロック!」
最初から説明されていた。
デュラハンは馬と合わせて2体だという事を。
馬部分を倒した事で一瞬気持ちが緩んでしまった。
デュラハンの本体が手に持っているグレイブで攻撃してきたのを間一髪で受け止めた。
「ほい!」
笹かまが後ろに回り込み警棒を叩き込む。
それで怯んだところにシールドバッシュを叩き込んだ。
「…ふう」
「どうしたんですか?」
千紗が俺の雰囲気が変わったのを察したらしい。
「あのモンスター、攻撃とHPのバランス悪いんだよね、ブロックで止めてもダメージ喰らっちゃうんだけど、それを攻撃した時にこちらが回復仕切る前に倒してしまって、戦闘後も少しHP削れたままになってしまう」
「リトルヒールかけます?」
「うーん、もう少し戦ってからにしようかな、すぐにどうにかなるほどのダメージじゃ無いし」
その後も下のゲートまでに何体か遭遇した。
突進を止めるのもその後の追撃に耐えるのも、かなり厳しいがそれでもなんとかこなしていく。
「リトルヒール」
「ありがとう」
「この階では私何もして無いですから、気にしないでください!」
こうして、やっと30階までやってきた。
「おー当たりっすよ!この辺で出るアンデッドで1番なんとかなりそうなの出たっす!炎弱点持ちのマミーっす」
当たり宣言通り、千紗のファイヤーブリッツ1発で倒せた。
武芸百般の効果のせいで、とんでもないダメージを与えるらしくまさに『鎧袖一触このことか!』という感じだ。
ボスもこんなに簡単に倒せて良いのかというくらい簡単に倒せた。
そして、31階
「流石にこれ以上は上も認めてくれないんで、何いるか確認だけしたら帰るっすよ」
「分かった」
そう言って、千紗に索敵してもらい、モンスターだけ確認する。
「あーこりゃ、ここからゴーレムゾーンすね」
「よく無いのか?」
「上がってるんでレアドロ無しになるんで、あんま美味く無いっすね。
ただ、ゴーレムゾーンは続く可能性割とあるんで、5階下がってまだゴーレムだったら、大チャンスっすよ」
「じゃあ、まずはそれを目標だな!でも31階だしなぁ、確実にレベル上げながら降りていくかな」
「あーこの階ロックゴーレムだから面倒っすよ、ウッドゴーレムかフレッシュゴーレムなら火が効くし楽なんで、そっちでレベル上げした方が良いっすよ。
あとは、ロックとアイアインとクリスタルっすけど、あ、クリスタルは土効くからクリスタルでも良いっす」
「そうか、分かったありがとう」
「なんにせよ今日は帰るっすよー」
自宅に帰ってから、これからのモンスターについて予習することにした。
「なぁ、千紗あのプレートから上あがったらもう一回ボス倒せるのか?」
「マナー違反ですけど出来ますよ」
「マナー違反なの?」
「はい」
俺以外に誰も来ないダンジョンだから気にしてなかったが、他のダンジョンでは何階まで行くか申請して、そこでボス戦やるなら、許可もらってからしないといけないらしい。
言われてみれば毎回、笹かまに何階まで行くか聞かれていたな。
ボスは1日4回しか出ないのでタイミング合わせてみんなで倒して下行けるようにしないといけないらしく、勝手に倒すと色々問題になって、最悪協会から除名されるらしい。
そっか、言われてみればそうだな、そうでもしないと何百人もの人が下にいけなくて混雑するか取り合いになるもんな。
「でも、突然どうしたんですか?」
「いや、マミーボスのレアドロップがかなり高額らしいだよね」
「あぁ、それなら、他の探索者も来てないですし、1回上に上がってから探索しますか?」
「うん、そうしよう」
打ち合わせが終わったところで晩飯になって、その後一緒にお風呂に入る事にした。
魅夢に
「人間のする事なんて気にしないから、今まで通りにして」
って言われたのだ。
魅夢なりに気を使われてるのが嫌だったらしい。
年齢的には魅夢が1番歳上だったしな。
気にしない事にした。
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