第26話 オッサン齢53歳にして石橋を叩くのを辞める。

 受付まで戻ってきた。


「あ、剣崎さんクエスト依頼すると思うんで、サクッとレベル上げちゃってください。

 スケルトン金にならないけど簡単に倒せるんで」


「ん、分かった。

 ところで幾らくらいもらえるんだ?クエストって」


「日当8000円と、戦闘の時のドロップ品の半分っすね。

 あ、パーティ単位で半分なんで実質4分の1って感じっす」


 うーん、稼げるのか稼げないのかさっぱり分からん。


 しかし、最悪31階までまともに収入が無い可能性があるんだから、受けないって選択肢は無い。


 とりあえず、了承して手続き用に書類にサインして、自宅に戻ってきた。


 早速リビングデッドを調べてみた。


 リビングデッドは一般的にはゾンビと同義語で、訳すとまんま生きてる死体だ。


 ただ、ダンジョン的には明確に分かれる。


 リビングアーマーの中身という扱いだ。


 逆かな?


 装備をつけたゾンビと言った方がいいかもしれない。


 そして、例外的にこのアンデッドはドロップする。


 それが装備の一部や全部らしい、そしてレアドロップだと魔力を帯びたマジックウェポンになるそうだ。


 夢がある。


 ドロップした装備でも運が良ければいい値段で売れる物もあるらしいが、レアドロップは余程の事がない限り、安くて10万、平均70万前後くらい、運が良ければ天井知らずで億のものも出たことがあるらしい。


 夢がある。

 大事な事だから2度言っておいた。


 ただ、DUのダンジョンでは滅多に出ないらしく、だいたいCUのダンジョンで5割弱くらいの確率で出現するらしい。


 こうなると俄然CUであって欲しいな!


 早急に下に降りれるようにレベル上げを頑張らねば!


 ー翌日ー


 スケルトン相手に戦う事になったのだが…。


 笹かまみたいに、あんな簡単に魔石砕けないぞ?


 スケルトンの魔石は他のアンデッドと比べてかなり魔石が大きい。


 だから狙いやすいという話だったんだけど…。


 ちょうど心臓の位置にあり肋骨で守られるのもあるけど、動きが言うほど鈍くない。


 めちゃくちゃ狙って、やっと魔石を攻撃できた。


「これはぁ、思ったよりむずかしいぞ…」

 いや、まぁ、俺が不器用というか、鈍臭いせいなんだけど。


 困った。


「普通に攻撃してみたらどうです?」

 俺が倒したスケルトンが消えていくところを見ながら悩んでいたら、千紗が声をかけてくれた。


「でも、攻撃しても回復するんだろ?」


「1回普通に攻撃したら壊れると思うんで、回復する前に魔石攻撃出来るんじゃないですか?」


「あ」

 そうか、別に1発で当てる必要ないんだ。


 なんだ、簡単じゃないか。


 という事で、また単体のスケルトンを探しだして戦闘する。


 普通にシールドバッシュで引っ叩いて、スキルとアイテム効果発動させる。


 これで壊れたところで、回復する前に…あれ?回復しないな。


 ん?スキルは発動中だな。


 これは回復してる所をスキルが抑え込んでいる感じだな。


 んー、これって魔石取れないか?


 試しに魔石を摘んでみる。


 …摘めるな。


 でもこれって、スキル解除されたら回復しちゃうんじゃないかな。


 あ!


「千紗、この魔石って鏢車にしまえないか?」


「え!大丈夫なんですか?」


「んーーーーー多分?」


「えー、もう、何かあったら絶対助けてくださいね」

 ちょっと膨れっ面をしながら、魔石を鏢車にしまう。


「どう?」


「特に何もないですね」


「スキルも止まったな、ちょっと取り出してみて」


「はい、どうぞ」


 特に問題なく魔石確保出来た。


「なぁ、千紗…これって…魔石確保で普通にかせげないか?」


「いけそうですね」

 2人で顔を見合わせてにっこりと笑う。


 さぁ、狩りの時間だ。


 ー6時間後ー


「おかえりっす、なんか良い事あったんすか?めっちゃ笑顔ですけど?」


「おう!笹かま!これを見てくれ!」


「これって、スケルトンの魔石じゃないっすか!どうやったんすか?」

 さすが笹かま1発でスケルトンの魔石だと見抜いた。


 俺は顛末を詳しく説明する。


「へー面白いっすね!とりあえず今まで買取の実績無いんで、暫定で300円で買い取って正確な値段でたら差額払うっすね」


「それより安くなった時はどうする?」


「え、絶対ならないっすよ、このサイズって下層でも下の方のサイズっすよ」


 今日はキリのいい数で100個になっところで戻ってきた。


「明日にはレベル上がられると思う」


「了解っす、じゃあ明後日からクエスト依頼出しますね」


「よろしく頼むな」

 早く下に降りてリビングデッド探さなきゃ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る