第14話 オッサン齢53歳にして焦る。

「あ、剣崎さんボスとか挑戦しないっすよね?」


 せっかくやる気になってダンジョンに行こうとした空気に水をさされる。


「うん、彼女がレベル5になるまでは挑戦しないつもりだけど」


「あ、それなら良いんすけど、調査隊が10階まで調査して、残り延期になったっす」

 調査隊は浅層部分の20階まで調査する。


 それを半分の10階で調査を延期するという事は


「このダンジョンFとかGじゃないって事が確定したのか?」


「そうっすね、それでもEなら延期にしないっすよ。

 暫定でESらしいっすけど、DSはほぼ確定みたいっす。

 なので装備と人員をもっと揃えてから調査っすね」


「DSになるとどうなるんだ?」


「そんなに変わらないっすけど、来る人は増えるっすね。

 好奇心が高い探索者って結構いるし。

 自分の能力勘違いしてる奴は特殊ダンジョン制覇者っていう肩書き欲しがるんすよ」


「なんか来づらくなりそうだな」


「問題児とかハグレなんかはこういう辺鄙でちょっと他と違うみたいな所に来たがるっすしねぇ。

 あれっすね、早めに中層まで行けるようにした方が良いっすよ。

 それくらいの実力つければ絡まれることも、あんまり無いっすから」

 あんまり、なんだ。


「俺の場合、装備頼りの戦闘だから手加減とか無理なんだが殺しちゃったらどうなるんだ?」


「そりゃ普通に捕まりますよ、あ、でもダンジョンじゃ人は殺したか、モンスターが殺したかなんて分からないっす。

 真実は一つとは限らないっすよ」

 大人な意見だな。


「ごめんよ、スキル重視で行きたかったんだけど、ちょっとレベル上げ重視して良いかな?」

 死体にするのも嫌だけど、されるのはもっと嫌だからな。


「はい、頑張りましょう!」

 良い子だなぁ。


「あ、剣崎さんこれ6階からのリストっす」

 そう言って1枚の用紙を渡してくれた。


 6階 ワイルドボア

 7階 ワイルドブル

 8階 ワイルドドッグ

 9階 ホブゴブリン

 10階 ジャイアントラット


 俺はこの時この構成の厄介さに気づいてなかった。


 改めてダンジョン探索を2人で行う。


 1階 スライム

 積極的に攻撃してこないので俺のシールドの練習はできない。


 逢真さんの魔法を一通り使って、石投げて、槍は溶けそうな雰囲気がするので辞めといて俺がパチンコで倒す。

 これは時間の無駄だな。


 ドロップ品を図鑑で確認したら、さっさと2階に行く。


 2階 ヴァルチャー

 滑空してくるので、シールドを構えると勝手にぶつかって、勝手に気絶する。

 これは…シールドスキルの練習になるのか?


 魔法一通り、石ぶつけて、竹槍刺して、瀕死の所を俺がパチンコでトドメさす。


 ドロップ品を図鑑で確認して、シールドの練習になってるか怪しいので更に下へ


 3階 ホーンラビット

 あぁぁ!ピョンピョン鬱陶しい!


 なんとか2人で1匹仕留めたけど、やたら時間かかった。


 どうせレベル5までステータス変わらないから、さっさと下に行こう。


 4階 ゴブリン

 なんかホッとする。


 人型なのでシールドの練習も出来る。


 ピョンピョン跳ねないから狙いやすい。


 数も3体以上でもなんとか出来るので数もこなせる。


 あれ?オーク1体と戦うくらいなら、ゴブリン3体と戦う方がレベル上がるの早くないか?


 しまったー何も考えないで1番下で戦うのが効率良いって思い込んでたー!


「あ、レベル上がったら、槍術と投擲術取れました!」

 ん?

 レベル5づつ習得するんじゃないの?


 ー2時間後ー

「おおう!レベル上がったら、一気に魔法覚えました」


「ちょっと1回ステータス見ても良いかな?」


「はい!どうぞ!」


 逢真千紗 レベル3

 クラス 鏢師

 クラス解説 ▽


 強さ 8 物理的攻撃力

 器用 8 命中率

 素早さ 8回避率、移動速度

 知性  8 魔法的攻撃力

 耐久力8 物理防御

 賢さ 8 魔法防御

 HP 80

 MP 80

 パーソナルスキル 鏢車

         自身の強さの100倍の重さまで収納可能。

 槍術

 投擲術


 火魔法 バーン 使用者が火傷する(MP1)

    ティンダー 着火する(MP1)

 水魔法 ティアドロップ 水を指先から一滴だけ出す(MP1)

    ウォータードロップ 水を作り出す(MP1)

 土魔法 グレイン 砂つぶを1粒飛ばせる(MP1)

    ブロック レンガ上のブロックを作り出す(MP1)

 風魔法 カーム 風が少し弱まる(MP1)

    ブリーズ そよ風を起こす(MP1)

 光魔法 ティンクル 指先が点滅する(MP1)

    トーチ   小さな光源を作り出す(MP1)

 闇魔法 ディム 薄暗くなる(MP1)

    シャドウ 影を作り出す(MP1)

 聖魔法 リフレッシュ 気持ちが晴れやかになる


 能力上昇値 5レベル毎 強さ8 器用8 素早さ8 知性8 耐久力8 賢さ8


「おお!凄いじゃん!」


「でも魔法はまだ戦闘に使えないです」


「新しい魔法覚えられるって分かっただけでも充分だよ!

 今日は初日だし、この辺であがろうか?」


「いえ、まだ出来ます!」


「でも、場所聞かなかったけど、ここから結構遠いんでしょ?」


「あの車後ろで寝れるようになってるんで大丈夫です!

 今日はギリギリまでレベル上げしましょう!」

 圧がすごいな。


 ここから、レベル上がるのに50匹、今のペースで行ければ1時間で12、3匹だから多めに見て5時間くらいか。


「よし!あと1レベル上げてしまうか!」

 このペースでスキル覚えて行ったら、俺から独立するのもすぐだろうなぁ。


 そんな事実を突きつけられて、背中に冷たい汗が流れた気がしたが、今は考えないようにした。


 こんな可愛い女の子が少しの間だけでも一緒に探索してくれたんだし。


 ありがたく思わなきゃな。


 2人だと戦闘の効率全然上がるなぁと感じながら狩りを続けた。

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