第8話 この祝賀のときに冒険譚を!

パーティーはかなり大掛かりな物になった。国を上げてのパーティーということもあり、今までとは比べ物にならないくらいには豪勢なものになっている。ふと窓の外を見下ろすと、王都もお祭り騒ぎになっていた。来年から、勇者誕生記念祭とかが開催されたりすんのかな?先程から、妙に親身に近づいてくる貴族たちの話を適当に流して、あらかたあしらったあと、思わずニヤけながら外を見ていた。だって記念日だよ。新種の動物に自分の名前を付ける機会よりレアじゃん。そりゃテンションも上がるだろ。ちなみにアクアはもはや魔王を倒したパーティーの仲間としてというよりか、芸人として貴族に囲まれてる。流石、芸の女神様だ。ダクネスはより一層たくさんの貴族に囲まれてはお見合いやデートのお誘いを受けている。よし後でからかいに行こう。めぐみんは自分の爆裂魔法がいかにすごかったのかを一通り語り終えたあと、今は食べるのに夢中なようだ。相変わらず食い意地の張ったやつだ。そんなもう見飽きたはずの懐かしい光景に思いを馳せていると

「少し良いだろうか。」

この声は……。

「お前から、話しかけてくるなんて珍しい。なんか変なものでも食ったか?」

「我がシンフォニア家は、王国の中でも有数の貴族の家系なのだが……、こんな無礼な態度を取るやつはお前だけだぞ。」

そうクレアだった。

「あっそ。お褒めいただき光栄ですとでも言っておいたほうがいいか?んで、なんの用だよ?」

そう適当な返事を返すと、クレアは顔をしかめながら、

「全く持って褒めたつもりなどなかったのだが……。まあいい、要件というのは、謝罪と感謝だ。お前は気にしていないと言っていたが、勇者になった今、わたしたちのあの行動はとても褒められたものではないだろう。だからこそ、改めて謝罪させてもらう。本当にすまなかった。」

おいおい、いつも強気なこいつが頭下げてきたんだけど、明日は雪でも降るのか?

「前にも言ったが、今更気にしてないって。それにしてもお前が俺に頭を下げる日が来るとは思わなかったな。」

そういうと、クレアはフッと小さく笑ったあと

「私も頭を下げる日が来るとは夢にも思わなかったよ。そしてもう一つ感謝していることについてだが……」

「言わなくてもわかってるって、アイリスのことだろ。」

こいつが何かに感謝するのはアイリス関連くらいだし……

そう言うと、眼の前のアイリスオタクはちょっとだけ驚いたような顔をしたあと、コクリと頷いた。

「その通りだ。私は正直、お前がアイリス様との結婚を認められたら、鼻の下を伸ばして、直様OKするようなやつだとも持っていた。今までお前のことを誤解していたようだ。そして、改めて感謝する。」

「何だよ。水臭い、共にアイリスについて語り合った仲だろ。今更気にするわけが……、ちょっと待て、お前は俺をロリコンかなんかだとでも思ってのか?おい、こっちを向け!目をそらすんじゃない!やめろよ。俺はロリコンじゃないぞ!ただ単に妹キャラが好きなだけであってな………。」

早口で弁明する俺に、クレアはバツが悪そうに、そっぽを向いたあと、それじゃあと小さく言って足早に去ってしまった。

あいつ後で覚えてろよ。

俺は恨めしげにそいつの背中を見送った。まあでも俺がアイリスを選ばなかった理由は概ねあの時言った通りだ。それに今俺は絶賛めぐみんルートで進んでいる。アイリスが俺の事を好いていているとしても、それは家族としてな感じがするし。まあ、俺としてはアイリスからお兄様大好き結婚してとか言われたらもしかしたらアイリスルートに入ってしまうかもしれないが……

ちょっとそんな事を考えていると、

「お兄様、ちょっと良いですか。」

噂をすればなんとやらってやつだ。

「どうした?アイリス?もう王様のところにいなくてもいいのか?」

「お父様はお父様でお忙しいですから。」

なるほどね…

「そうか。でなんかようか?」

「はい。今夜、お兄様はお暇ですか?」

おっと、まさかのアイリスルート開拓か…

「勿論空いてるぞ。」

そう答えると、ぱっと嬉しそうな顔をしながら、

「そうですか。なら今夜、魔王とお兄様の戦いや以前お会いした時には、話しきれなかった冒険譚を是非ともお聞かせください。」

興奮気味にそう言うアイリス。

まあ、概ね予想通りと言ったところか。

「そうか。わかった。とびきりのやつ用意して待ってるからな。」

「はい!楽しみにしてますね。」

そんな事を笑顔で言ってくる。

思わず、微笑み返すと、

「それともう一つ。お聞きしてもよろしいですか?」

「お、なんだ?何でも聞いてくれ。」

「それでは……」

一拍おいて、

「お兄様は私と結婚するのはお嫌でしたか?」

そんな、当たり障りのない質問を……

ちょっと待て今なんつった?

「ちょっとまってくれ。もう一度言ってくれないか?」

そう聞き間違えかもしれない。いかんいかん、ちょっと妄想とごっちゃになってしまったのかもしれん。しかし、そんな予想の反して…

「お兄様は私と結婚するのはお嫌でしたか?」

そんな、一言一句違わぬことをはにかみながら尋ねてきた。俺は素直に…

「いや、別に嫌だったわけじゃないよ。先も言ったが、あいつらとの生活に慣れたのもあるし……」

そこまで言うと、アイリスの顔が再びぱあっと笑顔になり、

「そうですか。ならまだチャンスはありますね。」

…………えっ……………?

チョトマテクダサイ。まさかのガチでアイリスルートあんの?

困惑しながらも自分の顔が熱くなるのを感じる。

「ふふっ。それでは、今夜のお話楽しみにしてますよ。」

笑いながらそう言い残して、駆け足で何処かへ行ってしまった。

俺はしばらく呆然と立ち尽くしていると…

「何しているんですか?」

おっと本日3度目の後ろからの声掛け来ました。

ゆっくり振り向く。するといつの間にか真横まで近づいてきためぐみんがこちらの顔を覗きながらそこに立っていた。

「おま、いつからそこにいたんだよ。」

びっくりする。まさかの聞かれてないよな。

「いつからだって、いいじゃないですか。それより、あの子と何を話していたんですか?顔真っ赤ですけど。」

ひとまず会話が聞かれてないようだ。俺はふいっと視線を逸らすと、

「べ、別になんでもねえよ。今夜冒険譚を聞きに、部屋に来るって言われただけだし…」

そんなのことを早口で言う俺に対して、わざわざ俺の視界に映るところまで移動し、こちらを訝しむような顔をしながら、

「ふぅん。そうですか……」

と信じてなさそうに言う。

「それよりもう食い物はいいのか?」

不味い。とりあえず話をそらして…

「はい。もう一杯食べましたから。」

まだ納得していなさそうな表情で答えてくるめぐみん。

「あんまり、食べ過ぎると太るぞ。」

からかうようにそう言うと、

「まあ、今まで、あまり裕福とは言えない環境で育ちましたから。こういう場でも、たくさん食べないと性に合わないんですよ。」

確かに、栄養が足りていなかったようだ。と俺はめぐみんの身体のある一点をみて思う。

「おい、なんで私の胸ばかり見ているのか聞こうじゃないか?正直に言えば許してあげよう。」

やべぇ。バレてる〜。

今にも掴みかかって来そうな雰囲気で言ってくるめぐみんに、

「いや、でもお前正直にっても殴ってくるだろ。」

そう反論する俺に、何を言っているのかと言った表情で、

「当たり前ではないですか。紅魔族は売られた喧嘩は買う種族ですからね。」

「おい。」

結局変わんねえじゃねえか。

「やめろよ。こっちにはドレインタッチがあるんだ。いざとなったら、1週間爆裂魔法禁止令を出すこともできるんだぞ。」

その言葉に、思わず後ずさるめぐみん。

「うぅ、やめてください。許しますし、誤りますから。本当にそれだけは、やめてください。」

年中爆裂爆裂言ってるこいつにはやはりこの手が一番効くようだ。

「そ、そういえば、魔王を倒したんですから、冒険者カードの討伐欄に魔王と書かれているのですか。いえ、別に疑っているわけではないんですが。どうせなら、討伐欄に書かれたやつをひと目見たいです。」

「あからさまに話題をそらしてくるな〜。それにしても、冒険者カードか…、そういえばあの時ダンジョンに置いてきちまったな。」

まあ、仕方がない。あのときの俺は体も残らないくらい、ぼろぼろになって死んでしまったんだし。

俺がそう伝えると、めぐみんは一瞬驚いたよう表情をしたあと、

「そうですか。それなら明日にでも、一緒にカードを作りにギルドに行きましょうか。冒険者カードの内容は、たとえ破損してもデータとして残っているので、ちゃんと再制作できますから。」

へえ、なにそれめっちゃ便利やん。

「そうだな。魔王を倒すことでレベルがどれだけ上がったとかも気になるし、まだいろんなスキルを取りたいからな。」

次とるならなんのスキルにしようかな。掃除スキルなんかないのかな。生活基準をあげられるやつがいい。あとは、風呂覗いてもバレなかったりするようになるやつ…

「そうですか。なんのスキルを取る気なのか知りませんが…あたしはアクアの様子でも見てきますね。それではまた。」

そう言い残して、アクアのもとに行ってしまった。

「そんじゃ。俺はララティーナをからかいに行くとするか。」


自室にて、俺は今日もらったものを仰向けに寝転がりながら見ていた。ダクネスやクレアが持っていたような文証みたいなものらしい。なんでも勇者の証で、これがあればある程度のことなら黙認されるそう。

ふむ、これがあれば、めぐみんやアクアが警察に厄介になっても楽に連れ帰れたりするってわけか……。

そんあことをぼちぼち考えていると、コンコンと控えめなノックの音が響き渡る。それと同時に、わずかに開けられたドアの隙間からアイリスがぴょこっと顔を出しこちらを伺っている。

「アイリスか…。遠慮してないで入れよ。」

それと同時にドアが開かれて………。

………………………………。

「で、お前たちは何しに来たん?」

アイリスの後ろにいた3人に声を掛ける。

「なにって、そりゃあ魔王退治の話を聞きに来たに決まってるでしょ。」

「そうですよ。仲間の私たちにすら話していないのに、王女様にだけ話すなんて水臭いですよ。安心してください。邪魔はしません。一応嘘を探知する魔道具も持ってきました。カズマのことですから変に見えを張って、変なことをいうかもしれませんからね。」

「そうだぞ。私達だってその話に興味があるんだ。」

えぇー。めんどくさ。思わず、アイリスにお前が連れてきたのか?という視線を向けると、ブンブンと首を振っている。まあしょうがないか……

「別にいいけど、そんなに格好良くなんてないぞ。」

そういってベッドをポンポンたたきこっちに来るように促す。全員が座ったのを確認してから、もったいぶって俺は話し出す。

「いいか、アクアたちは知っているかもしれないが、アイリスのために一度おさらいからだ。俺がどうして魔王とタイマンを張る事になったのか、そしてどのようにして勝利したのか。」

「勝利っていっても相打ちなんだけど……」

ちゃちゃいれてくるアクアを無言で殴って黙らせると、俺は話しだした。

まずアクアが魔王を弱体化し、俺がテレポートで拉致ったことを軽く説明し、その後の展開を語る。

魔王がいきなり逃げようとしたこと。それを挑発して阻止しようとしたら、不意打ちで魔法を撃たれたこと、目潰しをして、鬼ごっこを始めたこと……

「相手の目を潰したあと、俺は遠距離から狙撃をしたんだ。だが、さすが魔王と言ったところか。頭に何度当てても効果が薄いんだ。挙句の果てに、位置がバレた俺はあるスキルを使って、魔王にダメージを与えようとしたわけだ。」

「流石カズマさん。遠距離からネチネチする卑怯な戦法から入るなんて。」

「それで、それで、お兄様はどうしたんですか?どんなスキルを使ったんですか?」

目をキラキラ捺せながら問い詰めてくるアイリス。

「おいおい、そんなに急かすなって、俺が使ったスキルは、罠設置だ。これで今日使っていた、劣化マイトを設置し、魔王が踏むと同時にエクスプロージョーン。魔王は大爆散。だがやつはしぶとい、左足を多少怪我した程度で耐えてみせた。」

俺が自慢げに語ると、

「待ってください。爆裂魔法なら消し飛ばせています。そんなの爆裂魔法じゃありません。というか、今日は色々あって見逃していましたが、あのなんとかマイトは使ってはいけないと言いましたよね。あの時以来、コソコソ作っているところを抑えては、捨てていたというのに、本当に油断する隙もありませんね。全く…」

ふてくされているめぐみんをまあまあとダクネスが諭す。

「そこからはまた追いかけっこのスタートだ。やつは足を負傷していながらも、俺達の間の差は一向に離れなかった。その瞬間、後ろから嫌な気配を感じ取ったんだ。俺は直ぐにそれは、何かしらの魔法を唱えていると見破った。よし、ここで問題だ。俺は一体どんな方法を使って、その魔王の攻撃から逃れたと思う?」

はいはい、と一斉に手を挙げる4人。

「よし、じゃあアクアから。」

「はい、運だけが取り柄のカズマさんのことだから、自動回避ガチャでしのいだと思います。」

「おい、運以外にも色々あるだろ……。おい、こっちを向けアクア、目をそらすな!」

俺が両頬を挟んで、強引にこちらを向かせていると、

「私もアクアと同じだな。というか、理由は運だけではなく、単純に盾代わりになるようなスキルをカズマは持っていないだろう。」

「お前もかよ。言っておくけどな。発動しなかったら死ぬんだからな。よし、じゃあつぎはめぐみん。」

「火力に対抗するのは、更に強大で圧倒的な火力。すなわち爆裂魔法で……」

「馬鹿なの?ねえ本当にお前の頭には爆裂魔法しか無いの?」

めぐみんが言い切る前に口を出す。講義してくるメグミンを尻目に問いかける

「最後にアイリス。」

「はい、お兄様は確かマナタイトを持っていましたよね。それで土を作り、即興の壁を作ったんじゃないですか?」

まじか…正解されるとは思わなかった。

「流石アイリスだな。正解だ。頭の足りない女神と、脳筋クルセイダーは論外とし、爆裂狂なんかとも違う。やっぱり賢いな。」

「ふふん。」

「「「あっ」」」

一人自慢げなアイリスを除いた三人が講義してくるが、無視をして話を進めよう。そうしよう。

その後も俺は話しをしていた。

アースゴーレムを使い、立場が逆転したこと。相手も同じことをし、結局もとに戻ったこと。最後のダイナマイトを使い、どうにかゴーレムを破壊したこと。いきなり魔法の撃ち合いになり、肩に穴が空いたこと。それを癒やすためにマナタイトを使い、最後の一つになったこと。魔王の名前が八阪恭一であったこと。そして、俺が引き分けを提案したこと。最後に、魔王がそれを断ったこと。

「そして、角を曲がってきた魔王は、その俺の姿を見て、自分から引き分けを提案仕出したんだ。それじゃあ最後の問題だ。魔王は俺の一体何をみてビビったと思う?」

「はいはい、カズマさんの裸体…痛だ。やめて殴らないで。」

こいつ、ふざけたことばかり抜かしてると、まじで天界に返品するぞ。

「うむ、皆目見当もつかないな…。」

「ダクネスが答えないなら、私が変わりに答えるわ。お金よお金。それで買収したんだわ。札束で頰を叩いて言うこと聞かせたのよ」

俺の手から逃れたアクアが、ダクネスの後ろから、声を上げる。

んなわけあるか。

そこで残りの二人が、

「爆裂魔法です。圧倒的火力を前に魔王ですら赤子同然です。それに魔王が引き分けを望むほどの大魔法なんて、爆裂魔法しかありえません。」

「私は、スティールだと思いますよ。なにか大切なものを人質にしたりしたのではないですか。」

そう答えた。

「よし、答えは出揃ったな。先に言っておくと、この中に正解は………あります。」

「「「「おおっ」」」」

みんなが歓声を上げる。

「よし、そんじゃ発表するぞ。今回、見事正解したのは………………」

……………………………………。

ゴクリと皆が固唾を飲んで見守る。

「………………めぐみんだ。」

「「「えっ!!」」」

めぐみんと俺以外の3人がおもわず声を上げる。

「フッフッフッ、やはり紅魔族随一の天才であるこの私のことは欺けなかったようですね。それでカズマ?爆裂魔法をどうしたのですか!?」

「そう急かすな。ちゃんと話してやるから。」

そして、俺は話を続けた。魔王が俺の両手の間に灯る、爆裂魔法の光を見てビビリ、俺に交渉を持ち出したこと。それをきっぱり断ったこと。そして爆裂魔法を放ち、刺し違えたこと。ついでにその後の天界でのやり取りを話した。皆満足そうな表情を顔にたたえている。

うん、みんな満足してくれて何よりだ。

そう思い時計の方に目を移すと…

「ん、もうこんな時間か……、お前らも明日に備えてもう部屋にもどんな。」

話し終えた頃には、もう2時になりそうだった。俺がそう促すと…

「そうだな。話を聴けてスキッリした。今夜はよく眠れそうだ。ありがとうカズマ。」

「どういたしまして。」

「あの時私の代わりにエリスを連れてったのこと。少しでも悪いと思っているなら、謝って!ついでにアクシズ教に入信すれば許してあげなくもないわよ。」

「少しも悪いとも思ってないし、謝らないし、入信もしないから安心してくれ。」

「お兄様。また冒険譚を聞きに来ていいですか?」

「もちろんだ。いつでも待ってる。」

「カズマ、カズマ!今度カズマの爆裂魔法を見せてくださいよ。約束ですからね!」

「はいはい。」

全員に律儀に返事をする。

「おやすみ」

「「「「おやすみなさい」」」」

そう告げると、みんなからも返事が返ってくる。猛るアクアをダクネスが引っ張っていき、4人とも部屋を出る。

俺はそれを見送ったあと、そのままコロンと仰向けに寝転がる。いい加減眠くなってきた。そろそろ寝ようと思い目を閉じる。すると目を閉じて十秒と立たないうちに、クイクイと服の袖を引っ張られた。

俺はそのままの姿勢で、目だけ開け、引っ張られた方を向いた。

「めぐみんじゃないか。どうした?わすれものでもしたのか?」

そこにいたのはめぐみんだった。

「え、ええ。そんなところです。」

珍しいな。いつもはこういうところはしっかりしているはずのめぐみんが忘れ物だなんて……

そんな事をぼんやりと考えていると、

めぐみんがこちらの耳に、なにか探す様子もなく、ほんのり頬を赤く染めながら口を近づけてきた。よく見ればその瞳もまた紅く輝いている。

「明日……私と一緒にデートに行きませんか?」

そんなことを…そんなことを…そんなことを…えっ?今なんつった。

俺がそう聞き返す前に、めぐみんはテテテッとこちらを振り向きもせず、扉の向こうに消えていった。

その場には、今の言葉で完全に目が覚めた、困惑した表情の俺だけが残された。

「……………えっ…………?」

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