第1話 この素晴らしい仲間のもとに帰宅を!
エリス様からブレッシングを受け、自信に満ちた俺は、今なら何でもできると意気込んで、テレポートを詠唱し屋敷の前へと帰る。テレポートの位置は変更した、アクセルの刑務所よりこちらのほうが便利だからだ。厄介な敵がいたら崩れ落ちたダンジョンの最下層に放り込めば殺せるし。と、そんなことを考え、玄関を開けると突然、
「ようやく帰ってきたわねこのヒキニート」
と、目の前に仁王立ちするアクアが目尻をピクピクさせながら怒りをあらわに声をかけてきた。アクアの後ろにはだいたい同じような顔をしためぐみんとダクネスが見える。抵抗しようかと一瞬考えたが、流石に上級職のステータスに物を言わせた3人が相手となると分が悪いか。俺は勝てない勝負を自分から挑むほど馬鹿じゃない。エリス様「泣かせてきます」とかカッコつけたけど、無理そうです。と心の中で断ってから、俺はものの見事にDOGEZAをした。
「この度は調子に乗って誠に申し訳ございませんでした。」
あまりに潔い土下座に三人はため息をついてからコソコソなにか相談し始めた。顔を上げ読唇術スキルを発動させる。
「この男、凄まじい速度で土下座してきたぞ」
「まあ、カズマも反省しているみたいですし、魔王を倒したこともありますし、今回は許してあげましょうよ。」
「もう、今回だけは心の広いアクア様の御慈悲ということで見逃してあげるとしまし
ょう。」
そこで三人はもう一度こちらを見ると、アクアがしょうがないわね〜と言わんばかりの表情で
「今回だけは心の広いアクア様が許してあげるけど次はないからね。代わりに高級シュワシュワ奢ってくれるわよね。」
と、こいつほんとは高級シュワシュワ飲みたかっただけじゃないのか、まあ後で懲らしめるとして、ほとぼりが冷めるならここは便乗しておこう。
「高級シュワシュワでも何でも奢ってやるからいい加減中に入れてくれないか?このままだと凍えて死にそうなんだ。」
と冗談めかして言うと皆ふっと笑って家の中に入るようにアクアが促し、そして意気揚々とアクアが宣言した。
「さあて、今日は朝まで呑み明かすわよーー」
アクアが呼びかけ、ルンルンとスキップを踏みながら、家の中に入っていった。相変わらず能天気なやつだなとズッコケるまで調子の良かったアクアを見て呆れながら、けれどその感触に確かな懐かしさを覚えながら俺はほほえみ、ふと二人の顔を見ると、俺と同じ事を考えているのか呆れたような、けれどもなんだか嬉しそうな表情をしたあとアクアの後を追って、屋敷に入っていった。めぐみんが
「今日くらい私もシュワシュワを飲みますよ!止めても聞きませんから。」
止めると思ったがダクネスも
「止めはしないさ。今日くらい羽目を外しても、誰も文句を言うまい。」
「ホントですか!?」
めぐみんも早足でリビングに駆けていった。俺がダクネスに
「やっぱ何があってもあいつらは変わんねえな」
と話かけると、間をおいてダクネスが
「………まあ、これも私たちらしくていいじゃないか。」
と、とても優しい声音で返した
「それも、そうだな。」
と、何気ない返答を返す。
そこで、屋敷の中からアクアの叫び声が聞こえた。
「ちょっとめぐみん髪引っ張らないで!!何でもう酔ってんのよ!!まだ1杯しか飲んでないでしょう!」
「な、なにおう。まだ全然よってましぇんよ。ほらこっちのお酒もまだまだ残ってますし。」
「やめてめぐみん!そのお酒は私が大事に取っておいたとっておきのやつで、これからちびちび飲んでいこうと、、やめてイッキ飲みしようとしないで!!カジュマさーん!助けて!カジュマしゃーん!!!!」
俺は急いで駆け寄って
「しょうがねーなー!」
と叫ぶと、三人の最高の仲間たちとともに、酒を飲み始めた。
そうして宴会は皆が寝落ちするまで、夜遅くまで続いたのだった。
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