第25話『ダンジョン探索開始』


 クロネさんとめちゃくちゃ話し合い、昼休みが終わった後。

 僕のクラスの生徒達は午後の授業であるダンジョン探索の為、学校地下にあるダンジョン入口に集合していた。



「ここがダンジョン。その入口か……」



 ダンジョン。

 それは魔獣が徘徊する地下迷宮の名称らしい。

 なんでも奥に行けば行くほど強力な魔獣が出てくるのだとか。


 その最奥にはボスとなる魔獣が居て、そいつを倒せばダンジョン内の魔獣は統率を失うらしい。


 もっとも、この学校地下のダンジョンのボスは既に倒されているらしいけどね。

 それ以外の中に居る魔獣も、生徒達で対処可能な低レベルの魔獣ばかりだそうだ。




「――さて。この授業が初めての者も居るので、改めて説明といこう。今回、君らにはそれぞれ組んでもらったパーティーでこのダンジョンの最奥まで潜ってもらう。最奥にはそれぞれ1から15までの数字が刻まれた巻物があるので、最奥に着いたパーティーは若い番号の巻物を取って戻ってくるように。それを元に評価の対象とする」


 ダンジョンの奥に着いたパーティーから順に用意されてる巻物を取っていくのか。

 つまり、早ければ早いほど評価が上がるわけだ。



「また、このダンジョンにはあらかじめ幾匹かの魔獣を放たれている。放たれている魔獣の首にはそれぞれ色違いの首輪が嵌められているので、魔獣を倒したパーティーは可能であればで良いので首輪も取っておくように。それも評価の対象となる」



 ついでに道中に居る魔物の討伐数も評価に関係する……と。

 つまり、高評価を目指すならなるべく速く最奥までたどり着いて巻物を手に入れ、そして同時に魔物もたくさん倒さなきゃいけない訳だ。




「そして最期に。今回、ダンジョンへと入る入り口は累計30個用意している。どれも最奥に繋がる造りではあるが、最奥までの距離がバラバラだ。各パーティーは今から配る今回のダンジョン地図を元にどの入り口から入るか決めるといい。なお、一度使用された入り口はすぐに一定時間の間、使用不可となるので注意すること。それと、パーティー間での戦闘は認めるが故意に死者を出すことのないように」


 生徒同士で争って良くて、しかも故意じゃなければ死者が出てもいいらしい。

 少し厳し………………いや、当然かな。


 この一か月の生ぬるい授業で感覚が少しズレちゃってたけど、それくらいの覚悟がないと騎士にはなれないだろうし。

 むしろ生きるか死ぬかの戦闘にならないなんて凄く配慮されてるよなぁとすら思うよね。


 僕も森で魔獣との戦闘中、何度も死にかけたもんなぁ……。



 そうして先生が地図とやらを配り始める。

 そこには現在地である迷宮の各入り口からその最深部に至るまでの道が記されていた。

 どの道も曲がりくねっていたり途中で道が合流していたり、中には罠マークが多く付いてる道もあったりする。


 これは……すぐにどのルートが最適か導き出すのは難しそうだね。

 そうして各パーティーに地図が行き渡り――

 


「それでは――授業開始」


 遂にダンジョン探索授業が始まったのだった――



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