過不足デスゲーム(あーんど)クイズ!

渡貫とゐち

難点クイズ


「――問題です!」


 ナレーションによる問題文が言い終わる前に、選手が解答ボタンを押した。

 甲高い音が響き、選手が答えを言う。


 その答えは正解だった。


 ――――ピンポンピンポンっっ、と正解音が鳴り響く。



「2番の選手が独走状態です! 現在120ポイント獲得、他三名は未だに正解がなく0ポイントのまま……みなさん頑張ってください!!」



 その後、特別ルールとしてポイント倍や、1番、3番、4番の選手が得意とするジャンルの問題を出すも、2番の選手が答えてしまい、点差が開くばかり……。

 既にハンデに意味はなく、ポイントを奪い合ったところでゲームが盛り上がるはずもなく。

 ……運営も打つ手なしだった……。

 このまま続けたところで2番の選手がポイントを取るだけの作業になってしまうだろう。



「問題です!」


 2番、正解。



「続いての問題です!」


 2番、正解。



「最難関の問題です!!」


 しかし2番が正解してしまった。



 未だに0ポイントの三人の戦意は喪失。


 前のめりになっている2番だけが問題を聞いている始末だった……。


 大会が、成り立っていない――――



「だ、大問題です!!」



 この欠陥をどう埋め、大会を盛り上げますか?



 ……その問いには、あの2番の選手でさえ、解答ボタンを押せなかった。




 …了

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