港町事件簿 第五巻: 信頼の罠

第14話 新たな夢

香織が誘拐されたその夜の惨劇から数年が経過し、門司港の街並みは相変わらず穏やかだったが、香織の心には両親の記憶が深く刻まれていた。彼女は現在、大人になり、信用金庫で働く一方、両親の無念を晴らすために真実を追求し続けていた。

香織は両親の死後、新しい両親に引き取られ、愛情を受けながら成長してきた。彼女は自分の中に燃え続ける正義感を育て、両親が果たせなかった使命を引き継ぐことを心に決めていた。

信用金庫での業務の傍ら、香織は涼介と再び出会った。

「香織、久しぶりだな。君も大変だったな。」

涼介は微笑んで言った。

「涼介…私たちの道は交わる運命だったのかもしれないね。」

香織は感慨深げに答えた。

数日後、香織と涼介は門司港の静かなカフェ「エトワール」にいた。

そこで彼らは今回の事件について語り合い、未来への希望を語った。

「涼介、私たちがここまで来れたのは、両親の教えがあったからよ。」香織が言った。

「そうだな。君の両親も、俺の祖父も、真実を追い求めた人たちだ。」涼介は微笑んだ。

「これからも私たちは、その意志を引き継いでいく。」香織は決意を新たにした。

香織は涼介の手を握り、

「今後も一緒に戦うわ。二人で真実を追い求め続けましょう。」

ふと、涼介は笑顔を浮かべた。

「香織、いつか二人で探偵事務所を開かないか？ここ、門司港で。」

香織は驚きつつも、その提案に目を輝かせた。「それ、素敵なアイデアね。両親と祖父の思いを引き継ぎながら、私たちも新しい道を歩んでいく。」

「そうだ。二人で力を合わせて、門司港の平和を守っていこう。」

涼介も笑顔で応えた。

その時、涼介の電話が鳴り響いた。涼介が電話を取ると、表情が一変した。

「え？本当か？わかった、すぐに向かう。」

「何があったの？」香織が尋ねた。

「新たな事件だ。これまで以上に大きなものかもしれない。」

涼介の目には緊張が走っていた。

香織は深呼吸し、「私たちの探偵事務所の初仕事ね。行きましょう、涼介。」

門司港の夕陽が美しく輝く中、香織と涼介は新たな事件に向けて立ち上がった。彼らの戦いは終わりではなく、新たな章の始まりだった。そして、両親と祖父の教えを胸に刻みながら、香織と涼介は新たな希望を胸に歩き続けた。

### 次回作へ続く…

新たな事件と共に、香織と涼介の探偵事務所での活躍が始まる。彼らの次なる挑戦をお楽しみに。