歌舞伎町No. 1ホスト悪役令嬢に転生する

酢飯ざむらい

No.1ホスト、転生する

「美玲朱音代表へ、ルイいただきましたっ〜!!!」

「うおぉ〜!!すげぇ、さすが美玲さん!」


響き渡るオールコール、一点に集中する羨望・嫉妬・憧憬の眼差し、そして一身に受ける姫たちからの愛。

なんて最高の空間なんだ!全てが俺を中心に存在する。そう、俺美玲朱音は新宿でもトップのホストクラブーre:バースのNo. 1ホスト。要するに、この新宿のNo. 1ホストって訳だ。


「ありがとう、姫。俺のバースデー祝ってくれて。愛してるよ。」

「朱音っ!私も愛してる。私だけが朱音のエースなんだから、ね?」


俺が甘く囁いて、姫に触れるだけで姫は皆んな、いや?女なら誰だって俺に堕ちる。だって当然でしょ、女なら誰だって良い夢見たいだろ?


「美玲代表、2番卓のお客様が‥」

「分かった、今行く。姫、ごめんね、行ってくるよ‥」

「朱音がキスして、あとアフター一緒ならいいよ?」


いつの日でも俺は忙しいのだが、今日は特に俺のバースデー。比にならないレベルの忙しさだ。これならきっと今日は7000万はいけるな‥。やっぱ俺、ホストが最高の天職だ!女の子は大好きだし、それ以上にお金とNo. 1が大好きなんだ。明日は多分、久しぶりに酒が抜けなくて死ぬんだろうけど、まぁいいか。リシャールでもルイでもエンジェルでも、なんでも入れてくれよ?俺の愛する姫達。



チュンチュンチュン‥‥

(うわぁ〜久しぶりに朝チュンとか聞いて起きんの久しぶりだわ。絶対、今日体やべぇよな‥ってか昨日の記憶が、あれ?俺あの後誰とアフター行ったんだっけ?)


「えっ?ここどこ‥?な、なんなんだこのフリフリしたメルヘンみてぇな空間は‥こんなホテルここな辺にあったっけ?」

「お嬢様、おはようございます。」


って、え?何?お嬢様って‥なんかメイド服の女が入ってきたんだけど何だこれ?え、もしかして俺昨日酔いすぎて、とんでもないプレイしちゃったとか?え???


「えーと、姫?ごめんね‥昨夜は随分無理をさせてしまったかな?」

「姫‥?お、お嬢様、何かお加減でも‥?だ、大丈夫ですか!!す、すぐに医者を‥」

「い、いや!大丈夫だっ、じゃなくて結構よ。ちょっと悪い夢を見て混乱してるの‥ひとまず1人にしてくれるかしら?」

「承知しました‥。何かあったら、すぐにお呼びくださいね。」


ん????待て待て待て待て‥この声なんだ?と、とりあえずそれっぽい口調で話してみたけど、まさか‥な。うん、あれだよな昨日飲みすぎて変な夢でも見たんだ、これ。

全く、No. 1ホストがこれくらいで動揺してはダメだ。この俺がどれだけの修羅場に遭遇して潜り抜けてきたと思ってんだよ。そうだ、そうだよな。そんなはずはないんだ、俺が‥

水でもかぶって目を覚まそう。


バシャッッ!!!‥‥‥もうそろそろ、現実に戻ってもいいんじゃないか?

だって俺、どっからどうみたってどこぞのご令嬢なんだけど!?

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