第14話



 島の中には、全ての願いが叶う“財宝”が眠っている。



 いつしか、人々の間ではそう囁かれるようになり、世界の探検家や航海者は、ストーンが遺した幻の島への手がかりを求め、海に旅立った。


 “センターブルー“と呼ばれるようになったのは、世界の真ん中に、“全ての海と生命が集まる“とされているからだった。


 いつ、どこでそのような解釈になったのか、具体的な年代や出立ちは明らかになっていないが、死海があるとされる「グレートウォール洋(ウォーター・フロント)」には、真っ青に輝く海と、何十万種類にも及ぶ豊かな生態系が、果てしない航路(エンダー・ライン)の下に広がっているらしい。


 センターブルーを目指して数多の人々が挑戦してきたが、いまだ、死海の中に入れた人は存在しない。


 ただ、近代科学の発展によって、ストーンが遺した写真に映る巨大な神殿が、特殊な「障壁」の中に存在することがわかってきた。


 現代の科学力をもってしてもその障壁を打ち破ることはできず、世界各国で障壁の成分や性質の解明が急がれている段階にあるが、今のところ大きな進展は無い。


 ある研究者の仮説によれば、「神殿にはこの星の外からやって来た生物が存在するのではないか?」という説がある。


 仮説の元になった関連物には、世界各地に生息する魔物(モンスター)の存在が挙げられる。


 魔物はある時期を境に出没するようになった異形の怪物であり、“世界の病巣”として忌み嫌われている存在だった。


 生物学的な観点から見た魔物の肉体、及びその性質には、死海のエリアから検出された“未知の物質”とほとんど化学組成が同じであることが判明し、魔物が発生する要因の一つとして注目されるようになった経緯があった。

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