第2話
バンッ——!
勢いよくドアが開く。
セントラル・アカデミー(兵士養成学園)の敷地の中にある地上36階建のビル。
その会議室に呼ばれたのは、私と、——もう1人。
「おっす!」
…おっす?
ハリネズミのようなツンツン頭に、おでこについた絆創膏。
日光浴にでも行くのかと思うほどラフな格好の腕には、日焼けした肌。
そして、何より…
待ち合わせ時間に遅れたことを気にも留めず、軽いテンションで「めんごめんご!」と手を合わす。
馴れ馴れしい口調に、チャラチャラした仕草。
今何時かわかってる?
口を開くのも面倒で、会話をする気にもなれなかった。
だから睨んだ。
正直、目を合わしたくもなかった。
私の嫌いなタイプの人間だったからだ。
人を見た目で判断しちゃいけないというが、こういう普段から何も考えていないような人間は、見ていて鼻につく。
…まあ、別に気にしなければいいのだけれど。
よりにもよってこの人が“パートナー“だなんて、幸先が思いやられるというか。
ソラ・アーケード。
Aクラスの推薦枠で入った、セントラル・アカデミー第18期性。
私と同じAクラスであり、同学年。
ただし、彼は学園でも有名だった。
それは彼の「能力」が、他の生徒と比べて異色だったからだ。
セントラル・アカデミーに入るには生まれ持った魔力と、戦闘に適した特性が求められるが、彼は「魔力」を一切持ち合わせていなかった。
もちろん、そんな人間は世の中にザラにいる。
魔力を持っていなければ、兵士以外の職を探せばいい。
ただ、どういうわけか、彼はこの学園に入学することができた。
ただ入学しただけじゃなく、“推薦”として。
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