三十一文字の部屋(「和歌のようなもの」第3部)

青丹よしお

いかにしてわれの人畜無害たることを世人にひろく知らさむ

【読み】

いかにしてわれのじんちくむがいたることをよひとにひろくしらさむ


【語釈】

人畜無害――①人や動物に対して害がないこと。②(多く、皮肉や侮蔑の意を込めて)他に何の影響も及ぼさないような、平凡でとりえのない人。[デジタル大辞泉]


世人――世間の人。せじん。

[デジタル大辞泉]


【大意】

どうやって、わたしが人畜無害であることを世間のひとにひろく知らせよう。


【付記】

ひとが多くいる場所に行くときは、自分が清潔かつ安全な存在であることを求められるように感じる。しかして自分がいかに清潔であるかや、ひとを取って喰わないことを口を酸くして説明してもかえって不審に思われるにちがいない。


わたしの経験でものを言うと、見えないものは存在しないも同然である。他者の五感あるいは六根を刺激しないことは、処世術の根本なのかもしれない。

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