#07 - 誓約
すべて終わり客電が明るくなってアタシは我に返った。
「楽しかった?」と
アタシは思わず彼女の手を握って言った。
「うん、楽しかった!」
「ねー!」
と、言って
他人の手を握るなんてアタシにしては大胆な行動にでてしまったと少し恥ずかしかった。勢いに任せてアタシは
「よかったら駅まで一緒に行かない?」
と、
彼女の返事は「もちろん!」だったので一緒に帰ることにした。
人の流れに乗ってライブハウスから出て階段を上がって外にまで出てしまった。
始めてライブを体験した感想を聞かれたりしてひとしきり話して、2人組はこの後の打ち上げまで時間をつぶしにファストフード店に行くので駅まで送ろうかと聞かれたが、
「
と、教えてくれて、それを聞いていた美雨が言った。
「
何故か聞くと、
「気に入られてるっていうか、たまたまね。同じ高校だったってだけで。」
と、言うと「いいなー」と
もしかしかたら、リーダーと付き合っているというネットで知ったウワサは本当かもしれないと頭をよぎったがそれを本人に聞くほど無神経ではないし、あくまでウワサだからと心の中に留めておいた。
<
言われた通り
<今探してたんだけど、無事でよかった!打ち上げ誘おうと思ってたんだけど、もう遅いから家の人心配するね。>
時計を見るともうすぐ22時だった。
放任主義の父でも、友達のいないアタシが夜に出歩くなんてことは今までなかったから、さすがに心配するかもしれない。
<うれしいけど、疲れたし遅いので帰ります。楽しかったです!>
<じゃ、また今度誘うね。2人共誘うから。美雨ちゃんにもよろしくね。>
最後のメールの画面を
そして2人で駅に向かって歩きだした。
駅近くで
「アタシ終電まで大丈夫だから寄ろうと思うんだけど、
と、ファミリーレストランの看板を指さしながら言った。
そういえば興奮状態にあって忘れていたが、夕飯らしいものを食べていなかったのでその看板を見たら無性にお腹が空いた。2人で遅い夕飯を取ることにした。
念のため父にメールをした。
<友達と夕飯食べててもう少し遅くなると思う。>
<帰り気を付けて>
と、返信は淡白なもので放任主義のありがたさを知った。
2人でドリンクバーで何にしようかなどと話しながらドリンクを注ぎ、テーブルに戻って同じハンバーグとライスとスープのセットを頬張る。ライブのこんなところが良かったと話合いながら、ハンバーグをまた一切れ口に入れる。衣装がかっこよかったとかたわいもない事をおしゃべりしながら食事を進める。
「今日、私達もがんばったからご褒美にデザートもいっちゃおうよ」
と、
「甘いものは別腹だよね」なんて、高校生らしい会話もした。
家族以外の誰かとファミリーレストランで食事するなんて初めてだった。かなり空腹だったのもあるが、とてもおいしかった。
「アタシ、学校でもボッチで友達いないから、今日すごく楽しかった」
と、
「私も学校ではボッチだよ。でも
と、明るい笑顔で言った。
こんなに優しくて、人懐っこくて、可愛らしく笑う
「アタシも
と、思わず共感を口にすると、
「
アタシは涙が出そうになるほど嬉しかった。
そしてソフトドリンクの入ったプラスティックのコップで乾杯して笑い合った。
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