第1話 ガラムとラッシー
俺は……俺は……
ただ白米を買いに来ただけなのに……!!
罪というものはこんなにも絶望的に降りかかり 罰を受けるものなのだろうか……?
「ここは……何処なんだァァァァ!!」
―――――――――――――――――――――――
これは数時間前の出来事だ
俺は最高のカレーを最高の状態で食すために家を出てコンビニに向かった……はずだった
しかし家から出て暫く歩いていると見知らぬ森の中に迷い込んでいた、立地的にこんなことはありえないと驚いた俺は来た道を戻るが 森から抜け出せず疲弊していた。
そして不安感に耐えきれず 先程の叫び声に繋がるのである
とりあえず座り込む 体力の消耗を抑えるなどの狙いはなく この状況での無力感からだ
夜の森、最初は動物などに襲われないか警戒したがいくら歩いても動物に出会わなかった
ここに動物は居ない 素人判断だが今はその可能性に縋るしかなかった
ガサッ…
勿論 そんな物が通用するわけがない
近くの草が揺れる音 俺は其方へ姿勢を向け
「遅い」
「!?」
俺が音の方向を向こうとした瞬間
一瞬にして背後から声がしたと思ったら首元にはナイフのようなものが押し付けられていた
「両手をあげ 変なことはするな、少しの質問に答えたら楽にしてやる」
言われるがままに両手をあげる
突然の出来事 それも命の危機
恐怖がないと言われれば嘘になるが
今の俺には帰りを待っている最高のカレーが居る
今は言われるがままにするしかない
「抵抗の意思は無いな…おい お前達の仲間は何処へ行った?」
「なか…ま?」
「私達の村を襲撃アイツらだ!!しらばっくれるなよ お前の仲間だろ!」
刃物を押し付ける力が強まる
声からも苛立ちを隠せて居ない
この人の言う奴らの仲間だと間違えられる現状 答えを間違えたら俺は死ぬかもしれない
だが俺に交渉術等は無いので一か八か正直に言うしかない
「し、知らない!俺はお前の言ってる奴らの仲間なんかじゃない!
俺はつい先程此処に迷い込んでどうすればいいか困ってた、ただのカレー好きだ!!」
「誰がそんな話信じるか!!ってお前今…かれー…?
「……?」
カレーと言うワードに反応して暫く何か考えた後 急に俺を解放してくれた
「ごめん 私の勘違いだった
服装がアイツらと似てたから」
「いえいえ」
面と向かって座り合い 謝罪を受ける
俺にナイフを当てていたのは女の子だった
声から何となく予想は出来たがそれでも驚いた
それにしても命を取られそうだったのでゴメンで済む問題では無いと思うが黙っておく、正面から襲いかかられたら死んじゃうし
「えーと それで貴方は」
「貴方って呼ぶな!
ラッシーだ
私には両親から貰ったラッシーって誇り高き名がある
私のことは名前で呼べ」
「わ、分かった これからはラッシーって呼ぶよ」
「お前の名前は?教えろ」
「俺の名前は我螺無、ガラムだよ」
「ガラム…?ガラムか!お前良い名前だ!!
私達の村でその名は「勇気ある」の意味を持つ!
因みにラッシーは「美しい」って意味だ!」
凄く嬉しそうに語っている
滅多に褒めらる名前では無いので気分はいいのだが
今はそんな場合では無い
「ラッシー 聞きたいんだけど、この森を出るにはどっちに進んだら良いのかな」
「森の外へは…出られない」
「え…?」
「その事も含めてお前には色々と話したい
皆の安否も知りたいし
私達の村 行こう 案内してやる」
そうして俺は言われるがままラッシーの村まで付いていくことになった
もしかしたら俺は、とんでもない事に巻き込まれようとしているのかもしれない カレー食べたいだけだったのに……
異世界カレー @kare315
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