第2話

「正旭、学校は?」

階段の下からおふくろの声が聴こえた。

最愛のおふくろだ。

「寝坊助、お兄ちゃん。学校遅れるよ」

妹の浅葉がボクの頭を軽く張った。

最愛の妹だ。

ふたりがいなければボクはこの世に

いる意味がない。

「それじゃあな」

ボクは二人に挨拶をした。

それが最後の挨拶になるとも知らずに。


「どうかしたんですか?」

ボクがその日の午後家に帰ると、警察の

パトカーと野次馬がいた。

「どうかしたんですか?」

「一家惨殺皆殺しだってよ。かわいそうに」

「そっ、そんな」

ボクは規制線のなかにはいろうとした。

警官たちがボクを制止した。

「おふくろーっ!浅葉ーっ!」

ボクはありったけの声で二人の名を呼んだ。

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