第7話

アレンはあれからというもの、なぜか週一の割合で僕の部屋で一緒に寝るようななった。別に、僕もそれが嫌というわけでもなくただ受け入れた。初めは、あまり会話をしなかった僕たちだったが、一度僕が退屈だと言ってみるとアレンは僕に図書室の場所を教えてくれた。図書室には一生かかっても読みきれない数の本があり、僕はアレンと食事をする時以外は大体ここで過ごすようになった。何せ、アレン以外この館では人を見ることもなく勝手に館を散策するとなると流石に、気が咎めるので大分助かった。

アレンは僕と食事をとる時以外はこの館にはいないようだったが、どこで何をしているかを知ってしまったらアレンに距離を置かれそうで気にしないフリをした。自分は距離を初めに置いておきながらおかしい話ではあるが、なんとなくアレンから距離を置かれるのは嫌で仕方がなかった。


それから一ヶ月ほど経った頃、図書室で僕が本を読んでいると急にアレンがやってきた。アレンの身なりはぼろぼろで、ところどころ怪我をしているようだった。


「ど、どうしたの?アレン‥ちょ、無理しなくていいから医務室みたいなところない訳?」

「図書室から2回目の角を右に、曲がっ‥うっ‥」

「分かったから、とりあえず僕の肩に腕回して」


医務室には十分すぎるほどの備えがあったので無事にアレンを手当てすることができた。


「どうしてこんな無茶な真似を?というか、アレンは僕といない間何をしてるの、、別に何したって勝手だけどこんな傷だらけで来られちゃ心配するでしょ」

「私のことを心配、してくれるんですか?」

アレンは目を見開き驚いたあと、緊張が切れたのかベッドに倒れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る