深夜の書き散らし(仮)
じゅげむ
第1夜 まとまりのない夜に
私は一人でも平気な人間だとずうっと前から信じてはばからなかったが、ここ最近そのゆるぎない自信が揺らぎつつあるようだ。
ふとした瞬間に、この胸の中にある何とも言えないもやもやを誰かにぶつけたくなる。そんな時に愛をささやく恋人でもいればいいのだろうが、異性と同じ空間にいることを強いられた学生時代に、孤高を貫き続けた私であるから、そのような都合のいい存在はいないのだ。
もしいたとして、私の気味の悪い戯言を聞かされるのだから、そんな存在はいなくてよかったのだ。あえて、あえて、被害者を生まないために私は一人夜に安い酒をあおっている。
……そんな風に言い聞かせなければ、あまりにも虚しいじゃないか。
たいしておいしくもない発泡酒がそろそろ空になりそうなとき、ふとこのサイトのことを思い出した。数年前の私が思いつきで始めて、惰性でやめた小説は、こっぱずかしいものばかりだったが、それでも小説家に憧れて、目を輝かせて妄想を書き散らす私の姿が文字の裏にありありと見えた。その姿は何とも幼稚で、世間知らずで、でも眩しいものなのだ。
今打ち込んでいるこの文章は数年後の私にとっては、この世から微塵も残らないくらい抹消したいものであろうが、それでも私は今の気持ちをここに残したい。そんな未来のことは知ったこっちゃない。この文章は今の私の精神安定剤で、未来の私への壮大な嫌がらせである。
この文章をここまで読んだ奇特な皆さんにも、暇のある限り、この嫌がらせに付き合っていただきたい。
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