第44話 発達障害びっくり突出癖 画材を買えないアーティスト
● 画材を買えないアーティスト
本人が言わなくとも発達障害だなとはっきり判るほど特徴がある大学生の男の子でした。
トゥレット症も持ってたり、意思の疎通もすこし困難なところもあります。
多動性が著しく、常にダンスでもしてるような感じです。ひとりででもブツブツ喋っていたりもしますが、声を掛けると我に返るようそういうのはだいぶなくなります。
じっとしてることすらなかなか難しいところもあります。
YouTubeを観ている時も踊ってるかのように立ったままパソコンで観ていました。
いや、ダンス系の動画を見て真似してるとかではなく、ドリフのコントの動画を主に観て笑ってるのですが。
そんな彼がじっとしているのは、絵を描いてる時などです。そんな時は人が変わったように集中します。
絵やマンガを描くのが好きで、実際なかなか良い感じのものを描いてたのですが、ペラペラのコピー用紙に描いたりとみんな画材がお粗末だったので勿体無いと思いました。
でも、それはそれでアウトサイダーアートとしての価値があると思いますし、極力余計な干渉をしないようしていたのですけど、マンガになると鉛筆描きのものしかなく、きれいにコピーすら取れないんですね。印刷が難しいんです。
彼自身はアウトサイダーアート的なものには興味ないようで『名探偵コナン』のようなマンガが描きたいと言ってました(……てか、アウトサイダーアートの説明書いたほうが良いのかな?)
もう少しちゃんとした原稿用紙くらい使っても良いかもしれませんし、ペン入れという概念を教えてしまうべきかも悩みました。
ペン入れさえしてくれたら、コピーもちゃんと取れるし、スキャナー取り込みもきれいに出来るんですね。カラーでスキャンするしかない感じです。
誰に見せるわけでもなく、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』をコミカライズしてたりするんです。それが最後まで描き切っているのですが、鉛筆描きです。それが彼にとっての完成形のようです。
それ世に出すべきなくらい素晴らしいんですね。でもきれいに印刷が……。
そこで彼に一通り画材を見てもらった上で、その中から自由に選んでもらおうと考えました。
で、彼をですね、画材を扱ってるアニメイトに案内してみました。
ところが……。
彼はアニメイト内の独特な雰囲気に怖じ気たのか結局入ることができませんでした。
人混みが苦手などの感覚過敏のようでした。
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