第15話 衣装倒錯? 自己肯定感が低いヤバさ(後編)

 金銭感覚がバグってたのは自分でも自覚があったのか、常に身近に誰かしら突っ込んでくれる人もいまして、1点10万を越えるものには手を出さないと決めてました。


 デザイナーズばかりを着てるのもかっこ悪いとも思ってたのもあります。


 本当のおしゃれとは、お金をかけずに上手にするもんだと昔から母に教えられてました。


 にしても1点10万を越えるものは買わないという縛りも、おかしな考え方です。

 1点10万で済ませても、そんなの10年も20年も続けてたら、ちりつもです。

 好きなデザイナーズのコレクションラインが出ると月に何点も買うこともありましたし。

 大して稼いでないのに、服なんかでどんだけお金を溶かしてきたのか……。


 18万のヴィヴィアンのコート見かけたとき、どうしても欲しくなり、もう買ってしまおうと思いましたが、丁度友人が一緒にいたので、わたしのこと止めてくれたんですね。

 なんとか思い留まりました。


 要はネットでもヴィヴィアンのページも見ない、お店にも近付かないようにすればなんとかなりました。

 完全に依存症ですね。


 依存症といえば、また別のものにも依存してました。

 10年ほどに渡って出かけるさいには化粧をしてました。

 一旦化粧することを覚えると、どんなに面倒くさかろうが化粧をしないと気が済まなくなってました。


 映画『羊たちの沈黙』に登場する殺人鬼バッファロービルみたいな異常性だと思います。何か親近感すら感じます。まぁ、笑ってください。


 加齢とともに次第に落ち着いてはいったんですけどね。


 30過ぎてからろくにマンガを描いてなかったという理由もあるかと思います。

 そんな自己肯定感の低さをお洋服や化粧で埋めようとしてたんじゃないかと思います。



 自己肯定感が低いとそういうヤバいことにもなるという体験でもありました。

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