第14話 ゴブリン・エンペラーとの闘い

――

「大変だ!!」

「ど、どうした?妖精よ」

「うわっ! どうしてまだマッパなんだよ!」

「お前のせいじゃろうが! で、慌ててどうした?」

「ゴブリン・エンペラーだ!」

「何!?」

――


「アタイを襲ってきて森を破壊している!手に負えんわ、あんなん喰われる殺される、助けてくれ!」


「まさか最上位種のエンペラーも現れるとは……」


「それはゴブリンの頂点か?」


「そうじゃ、Sクラスの化け物、災害級じゃ」


「おい!マッパ!ヴァンパイア! なんとかしろ!」


「お前さん助けを乞うにきたんか? ワッチらに去れとか死ねと散々イキっておったろう」


「うるさいわ!助けろや!森を燃やしやがって!うわーーん!」


ボロボロと涙を流す妖精。


「頼む、頼む……アタイの森が、緑の美しい森が……うわーーん!」


泣き叫ぶ妖精。


「ゴトーよ、どうする?」


ゴトーは妖精に近づき、


「報酬は何だ?」


「鬼かあ!おのれはああああああ!!」


「いや、鬼はワッチじゃが」


「うるさいわっ!この吸血鬼が!オマエら血も涙もないのか!?」


喚き散らす妖精。


「おい、ゴトーよ……」


「報酬次第だ」


「うわーーん、もうダメだあああ!」


ギャン泣きする妖精。


「俺に依頼するなら、それに見合う報酬が必要だ」


「妖精には迷惑を掛けたじゃろ?それに倒すと魔石や角が手に入るぞい」


「・・・・・」


「アタイに出来ることはなんでもする。森を、草木を守ってくれ……」


「「なんでもする」。言質はとった。依頼を了承、報酬は後払いだ」


「………」



地響きが鳴る。


「コッチ、来たーー!」


樹々や草木をなぎ倒し、5メートルを超えるゴブリン・エンペラーが現れる。


「ぎゃああああああ!やめてくれえー!」


咆哮するゴブリン・エンペラー。


ゴトーは暴れまくるゴブリン・エンペラーの元へ無警戒で近づく。


「ゴトー、気を付けい!」


エンペラーは凶悪な形相で、両の手を握り頭上に掲げる。

それを冷静に観察するゴトー。


「なにやっとんじゃ! 魔法を使わんかい!」

「マッパー!」


ゴブリン・エンペラーは振りかぶり両こぶしをゴトーの脳天を叩きつける。

ゴトーの両脚が地面30センチ陥没するが、倒れずそれに堪える。


「耐えた!しかし、これ以上エンペラーには……」

「マ、マッパ……」


ゴトーは地面から這い上がり、体制を立て直す。

エンペラーの薙ぎ払う右手の攻撃を素早く横に移動して身をかわす。


「見切っておるんか?」

「マッパー!」


俊敏な動きで、右手左手の猛攻撃を反らし受け流す。


「速っ!」

「マッパ!」


エンペラーの膝蹴りを避け、懐に潜りこみ、右膝に一撃をくわえる。

<ゴギッ!>


骨を砕く音が響き、続いて左膝にも一撃。

両脚を粉砕しバランスが崩れ、エンペラーはうつ伏せに倒壊。


分厚い胴体に一撃を放ち、続けて掌打を浴びせ脇腹を陥没させる。

エンペラーは苦痛に歪み悲痛な叫び声、断末魔がこだまする。


<ゴワアアアァァァ……>


這いつくばる瀕死のエンペラーの横顔に全力の蹴りを入れると、頭部が破裂し肉片骨片が飛び散る。


「「………」」


首から勢いよく赤い血が噴き出し、辺り一面が血の海となり、首無しのエンペラーは絶命。肉の塊、屍と化す。

反動で葉っぱが取れて全裸の姿。


「「………」」


――

 (注)

誠に申し訳ありませんが、

ゴトーさんは下半身むき出しになる時がありますので、

股間にはモザイク処理の補完を推奨いたします。

不適切描写の、

配慮が遅れたことをお詫びいたします <(_ _)>

――


倒したエンペラーを見下ろしながら魔法で火を点け、煙草を吸い一服する。


「お、おい、マッパは化け物なのか?」


「うむー、それは否定できんのう……」


妖精はゴトーの股間を示し、


「気のせいか、前より竿が大きくないか?」


「お、おう……」


「レッド・スネークのように赤くなっているが、あんなに真っ赤だっけ?」


「そこは何も聞いてくれるな……」


★★


ゴブリンキングの2倍もの魔石を取り出す。


「でっけー」


「キングの魔石の2倍で売れるのう」


「ホントに助かったわ、マッパよ」


ゴトーは頷く。


「転移人で召喚されたなら強さも納得するぞ。でも強すぎとも思うけど」


「ほれ、なんかお礼、報酬を渡さんと」


「お礼かー。人族が欲しがるモノはないぞ。リンゴーとかナッシーでいいか?」


「そこら辺にある果物じゃさすがに報酬に見合わんわ」


「バナーナはどうだ?」


「いや、それも、見合わんわ。……じゃが余っとるんならワッチに持ってきてもええんじゃぞ」


「パイナッポーもあるぞ」


「なに!パイナッポーじゃと! おいゴトー、パイナッポーじゃ、これは最高の報酬なのじゃ!」


「・・・・・」


「宮廷時代、1度だけ食したことがあるんじゃが、あの酸味は忘れられんぞい。ゴトーは喰ったことあるんか?」


「パイナッポーとは、皮がギザギザで中身が黄色の物か?」


「そうじゃ。のうのう報酬はそれでええんじゃないか?」


ヨダレを垂らすシーナ。


「パイナッポーは報酬には値しない」


落胆するシーナ。


「のう妖精よ。ワッチにパイナッポーを持ってこんか?」


「オマエ、なにもしてないだろう」


「金貨やるから頼むや」


「自分で見つけて喰え」


「なんじゃい、ケチくさいチビんこじゃ」


「うるさいわっ!」


「ゴトーよ、エンペラーが妖精をお襲ったんは、喰うと寿命が延びるからじゃぞ」


「あ!おい!オマエ、余計なことを!」


「報酬はそれでええんじゃないか?」


「馬鹿かオマエー! なんで助けられ喰われんといかんのだあ!」


ゴトーが獲物を狙う鋭い眼で妖精を睨む。


「この馬鹿ヴァンパイア、その気になったらどうするんだ!」


シーナの頭をぺシペシ叩く。


「わ、悪かった。ゴトーよ、いまのは際どいイッツ・ア・ジョークなのじゃ」


顎に手をやり悩み込むゴトー。


「おい、マッパめっちゃ悩んでるんだが……」


「寿命か、人族なら報酬としては悪くなかろうな」


「おい、ふざけんな!なんとかしろ!冗談じゃないぞー!」


「寿命は今の俺には必要ない」


「そ、そうか。よかったのう、妖精よ」


「寿命を望んでたら食べられてたの?」


「俺に対して弓を引かない限り、無益な殺生はするつもりはない」


「さっき、弓どころか雷攻撃で殺めようとしてたんじゃがな」


「黙れ! マッパは話が分かるな。ウソつきで根性腐ったオマエとは大違いだ」


「うっさいわ」


「マッパは渋いと思うぞ。ちょっとフルチンが残念だけど」


ゴトーはスマホを構え、

<カシャ>


「報酬の件は、写メと動画撮影だ」


<カシャ カシャ カシャ>


動画の録画スタート。

●REC


パタパタと空を舞う妖精を、いろいろな角度から撮る全裸のゴトー。


「マッパ、なにしてんの?」


「あー、知らん方がええと思うぞ」


録画が終わり、動画の再生をして確認。

シーナは横から動画を覗き、


「ほえー、これは凄いのう。まるで本物がこの中で動き回っておるようじゃ」


「帰ったらSNSに投稿だな」


「なんじゃその「えすえぬえす」とは?」


「全世界に発信する所だ」


「……ゴトーの言うことは、相変わらず分からんわ」


気になる妖精はスマホを覗く。


「なに見てる?」


「あ、おい。見んほうが」


パタパタと画面内を飛ぶ自分の映像。


「……?」


「これはスマホの動画いうて、お前さんの姿を捉えたものじゃ。口は悪いが喋らんと見栄えは悪くないのう」


「………」


「Xや○ikTokにも投稿だな」


「ぎゃああああああ!!!アタイがその箱の中に!!!」


「「!」」


「コワイコワイコワイ!オマエは魔女なのか!」


「落ち着け」


「イヤだイヤだ!アタイを出してくれ!閉じ込めんでくれ!うわああああああああああ!」


取り乱す森妖精に、


「ワッチも、こんなんやったんか……」


★★


泣き止む妖精。


「ホントに、なにもないんだな。グスッ」


「地球では写真に撮られた者は魂を抜かれると信じられていたが、心配しなくていい、それは迷信だ」


「………。うわーーーーーん!!!」


――

14 ゴブリン・エンペラーとの闘い 終わり

15 サキュバスの誘惑

――

――

次回

淫魔のサキュバスがゴトーに迫る!

――

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