家が潰されたのでダンジョンでパン作ってたら、知らぬ間に有名になってた件

ラ主@多忙なう

第1話

「研究者によると、けさから世界各地で頻発している小規模な地震が日本でも起きる可能性は高いそうです。また、いまだに原因はわかっていないということです。今後の情報に注意してください。」


2300年。ある日突然、各地で地震が多発した。それが、日常を変える出来事の予兆は誰も知らず―



そんなことも知らず、とある青年は料理に取り組んでいた。

料理好きな青年である俺、三河修は毎日料理をしている。


「今日はキーマカレーでも作ろうかな~。あ、パンもいいじゃん。カレーパンにしよ。」


料理は最高だ。自分で作ったものを食べる。それほど幸せなことはない。

そういえば、最近地震が多発しているらしいが、別に何も変わらないだろう。

社会がどうなっても、料理さえできればいい。それが俺のスタンスだ。


もちろん仕事はしている。仕事をしないと材料費がないからだ。

もっと楽をしたいな....と思いつつ、そんな社会は甘くないなと自分に言い聞かせて会社に向かう。

そして、カタカタ事務作業をして定時になったら家に帰る日々。

そんな平凡な日々が、突然崩れていった。




「速報です。今日14時頃、複数の地震が発生しました。震源地は測定不可です。また、この地震の影響で各地で謎の建造物が現れたとのことです。引き続き調査を続けています。」


ダンジョンができた。

ファンタジーの世界でしかないと思っていたのに、現実世界でできてしまった。

しかも、日本での地震がきっかけで世界中でも同時にダンジョンが現れたそう。


「まじか....」


もちろん、俺含め日本中の人々は混乱している。

この地震...というよりは"未知の災害"によって、さまざまな出来事が起こった。

ダンジョンから"未知の生物"が次々と現れ、周りにいた野次馬を襲っていった。

その攻撃力はすさまじく、一瞬で引き裂かれていく。


そして、建物が破壊されていった。


...俺の家も。


ほかの誰よりも絶望していた。俺が。


「俺のマイホームがぁ...」


俺の家は料理に特化した料理ハウスだ。

たくさんの器具があって、そのなかにパンオーブン(業者用)もあった。

電気代とかは最低限にして、ために溜めまくった金で買ったパンオーブンが、一瞬にして灰になった。


なんとかして取り戻したい俺は、意地でこのダンジョンができた世界で成り上がることを決めた。パンオーブンのために。

すべては俺の料理ライフを取り戻すためだ。もちろんラノベは全然読んでなかったから、ダンジョンの知識なんて何もない。

"素手で戦えば何とかなるだろ"精神でいけるだろう。


そう考えてみたものの、そもそもダンジョンが何なのかも知らない。

ダンジョンができたと言われているが、正直信じられない。

そもそもの話、モンスターなど空想上のものだから。いきなり現実味のない話をされても、誰も信じられないだろうな...


そう思いつつ、俺はとぼとぼと避難所へと向かった。





「え、まじでダンジョンできてるんだが。」

避難所に向かっている最中に、遭遇してしまった。


ダンジョンに。


やっぱりあの噂は本当だったんだと驚く一方、なんか好奇心で中に入ってみたい気持ちが強まってくる。

今のところは周りに誰もいないな。そう確認してから、


「じゃ、行ってきまーす」


俺は一人で未知のダンジョンに突撃していった。


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