今度こそは奪わせない~虐げられるのはもうやめだ~
一条 颯斗
第1話 転生初日
視界がぼんやりする…
「……ル様、……タル様」
誰かに呼ばれているような…
「イ…タル様、御から…は…でしょ…」
ここはいったいどこだ…俺はどうなって…
その瞬間、俺は頭が割れるような猛烈な頭痛に襲われ、意識を失った…
◇
目覚めがいい朝なのだろうか。
あのクソ野郎に殺され、死んでしまったと思ったが、どうやら俺は転生したらしい。
どういうわけか、この身体には前世の「桜井 新」の記憶と、今世の「イシュタル=ファン=ヴェロア」の記憶両方が存在している。
誰が、いったい、何のために…そんな取り留めのない考えが溢れてくる。
とりあえず、ベットから起き上がるかと考えていたその時、不意にドアが開いた。
「イシュタル様!意識が戻られたのですね」
涙ぐみながらこちらに駆け寄ってくる彼女は、母が冒険者だった頃、引き取った孤児で、母がヴェロア家に嫁いだあとも使用人としてついてきてくれたらしい。
「心配かけたね、ヘレナ」
「とんでもございません!ところで御身体の具合はいかがでしょうか?痛むところはございませんか?」
「特に痛むところはないが、念のため医者を呼んできてくれるか?」
「わ、わたしとしたことが…すぐに呼んできます!」
普段しっかりしているヘレナがこうもあわてていると、なんか面白いなと思う反面、それだけ心配をかけてしまったということに心が痛む。
「これからどうしたものかな…」
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