第36話
ノスタルジックな感情。子ども時代や青春時代を振り返って、感情が揺らぐ感覚は何だろうか?
うまく表現できないが、秋村の実家は田舎で、窓からよく陽の入る、夕日も眩しい家だった。夏のある日、学校帰りで親が帰宅していない部屋で、熱気のこもった部屋で書棚の本を手に取ってみる。「TSUGUMI」という題名の吉本ばななという作家の青春小説。または学校の教科書に掲載されていた山田詠美という作家の青春小説でもいい。まだ自分が生まれてすらいないとき書かれた小説だったが、そういった「青春小説」を手に取ってパラパラとページを読んだときの、何か心が締め付けられるような、遠くに思いを馳せるような感情。
そのとき秋村は中学生くらいで、特に学校生活に困っていることもなかった。これから僕にはこんな色々な人生や出来事が待っているのか、といったような何か切なさと期待が入り混じった不思議な気持ち。
それが今ではすっかり中年のおじさんとなった秋村は、大きくは過去に後悔しか感じていなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます