第35話
過去に戻れるなら。。。
後者のタイプの男なら、モテたいという発想が、間違っていた。
振り向かない女に、自尊心を傷つけられるのではなくて、振り向く女で、やりくりする。
男は、陳列棚に並ぶ商品であって、選ぶのは女なのだ。
メディアで見る今っぽい可愛い女たち、周りの惚れた腫れたに欲求不満になり、脈がないかじぶんに及ばない女を追いかけては、あしらわれて、さらに欲求不満になるという悪循環。
無理に届かない女に欲求不満にならずに、ターゲットを自分に振り向く女に絞れば、付き合う前でも、脈ありを感じられれば、自然と自己肯定感も高まるものだ。恋愛特有の高揚感もある。
最初から、それでよかったのに。
それでも埋まらない感情。
はじめ秋村は、自分が過去に執着した女への欲求不満からこの物語を始めていた。新しい「振り向く女」を追っていても、歳を重ねていく秋村には、女の「レベル」が下がるのは必然だった。だから満たされないのか?
もう一つは、「乗り越えた」overcomeした感情が欲しかったが得られないことだっただろう。秋村は子どものときに観た「ショーシャンクの空に」という映画が好きだった。苦しいことを乗り越えて、解放されるエンディングが好きだった。物語として起承転結もわかりやすかった。
そのような「乗り越えた」という物語が欲しかった、または過去が今につながっているというポジティブな気持ちが欲しかったのだろう。
しかし、現実は、大学時代の教授が言ったように「遠回りに意味などない」だろうし、女が本能として「上書き保存」できるように、失敗した過去はきれいさっぱり忘れて、次をつかむのが正解なのだろう。
しかし秋村は「乗り越えた」という物語や、過去が今につながっているというポジティブなエンディングを求めていた。
そこに満たされない感情があった。
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