序盤で殺される悪役貴族に転生した俺、死にたくないので少しずつ死亡フラグをへし折ってたら、王女が俺に告白して来ました。

@Soraran226

第1話 もしかして俺……ゲームの世界に転生したのか!?

 風がそよぎ、草がなびく。

 

 俺はそんな草原の上に寝転がっている。

 

 ここはとても気持ちがいい。

 

 眠りから覚めるのがもったいなく感じるくらいだ。


「ロラン様、ここで寝ないで下さい」

 

 女性の声。


 目を少し開けて、声のする方に顔を向けると……青髪の女性がいた。

 

 なんか中世RPGに出てくるような服を着ている。

 

 あれ、俺ってロランっていう名前だっけ?


 てかここってどこ?


 俺は不思議に思いながら、起き上がる。

 

 周りを見ると美しい自然が広がっていた。


 そして奥にはレトロな街が見える。

 

 こんな所初めて見る……俺もしかして天国に来た?


 いや、それはないだろう。


 見る限り死後の世界ではなさそうだ。

 

 ならここは、もしかして夢か?


 それにしては妙にリアルだ……ん?


 そういえばこの風景何処かで見たことあるような?

 

「もしかして俺……ゲームの世界に転生したのか!?」

 

「ロラン様、 いきなり叫んでどうしたんですか」

 

 だって中世っぽい町がある世界なんて現実世界じゃあり得えないだろ!


 本当にゲームの世界に転生してるのか俺!?


  確かこのゲームはRPGのはず。


 なら、俺は勇者か!?


  いや違う、さっきから俺の横にいるこの青髪の使用人は俺をロランって呼んでいた。

 

 ロランって確か……。

 

 俺はゲームの記憶を思い出そうとする。


 確かこのゲームは勇者が魔王を倒すというストーリーのゲームだ。


 そして俺、ロランは悪役貴族。

 

 ゲームの中ボス的な存在の貴族だった。

 

「さ、最悪だ、何でよりによって悪役なんだよ!?」

 

「ロラン様、もしかして体調が優れないのですか?」

 

「そ、そうみたいだ」

 

「分かりました、馬車を出します。お乗りください」

 

 俺は戸惑いながらも言われるがまま馬車に乗り、さっきの動揺を誤魔化すように窓の外の景色を眺める。

 

 町が見えた時から思っていたけど、やっぱりここはゲームの中だ。

 

 俺はこのゲームの世界をよく知っている。

 

 ロランはストーリーの序盤で勇者に殺される。

 

 そう、俺は死ぬのだ。


 しかもゲームの中での死に方は一番酷い。


「く、くそぉぉぉ」


 俺は馬車に揺られながら頭を抱える。


 せっかくテンプレみたいな事が起きて、最高の生活になると思ったのによぉぉ!!!


  俺の悪事を全てばらされ、更に勇者にはボコられる。


 そして、その後殺され……。


 俺は頭を抱えながら周りを見渡していると古めの本を見つける。


 中身を読んでみると全く知らない文字なのに何故か読めてしまう。

 

「俺まじで転生したのか」

 

 俺は本を閉じて馬車の床にへたり込んでしまう。


 数十分そうしていると馬車が止まり、扉が開く。

 

 目の前に広がるのは周りより目立つ大きい建物だ。

 

 着いた場所はトルド邸、入口では歳を取った執事とメイドが出迎えをしている。

 

「ロラン様、着きました」

 

「ああ、ありがとうフリア」

 

 俺と一緒の馬車に乗っていた青髪の女性はフリアと言い、俺に仕えるメイドだ。

 

 ゲームの世界でもずっとロランの傍で仕えていた唯一の人物でもある。

 

 俺は執事とフリアに案内されるがままトルド邸に入り、廊下へと進んでいく。

 

 そして自分の部屋に入り、ベッドにダイブする。


 俺は枕に顔を埋めて叫ぶ。

 

「ゲームの世界に来たら勇者になってハーレム生活とか夢見てたのによぉぉ!!」



―――





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