俺と猫部の十五年戦争

千織

仁義なき戦い 貴史と猫部♀

猫部祐里ねこべゆうり

幼馴染のあいつは、ことごとく俺の前に立ちはだかる。


遡ること保育園児時代。

女子は男子より体がデカくなるのが早いところもあり、運動系はほとんどあいつの勝ちだった。

多少のお勉強めいたことも、あいつは知育教育を当時から受けていたせいで得意だった。


それだけならまだ良かった。


ある日、俺は好きな女の子に告白をした。

僕と結婚してください、と。

彼女は言った。

「私、ゆーりちゃんと結婚するの。ゆーりちゃん、かけっこ早いし、クイズ解くの早いから」


振られた。

女に生まれただけ、親ガチャで引きが良かっただけだろ。

許すまじ猫部祐里。

俺は、あいつに勝つ男になることを決意した。


♢♢♢


小学校の時も俺はまだ背が伸びず、一方、猫部はクラスの女子の中で一番背が高かった。

ゆえに運動での勝負はズタボロだった。


「貴ちゃん全然背が伸びないよねー。かーわーいーいー♡」


比喩でなく、リアル上から目線でバカにしてくる。


勉強も、あいつは公文の先取り学習をしていて勝てない。


クソ、いまだ女という性別のおかげ、親の力のおかげじゃないか。

6年間、俺の悔しさが晴れることはなかった。


♢♢♢


中学になると、男女の体格、力の差が大きくなるので勝負とはいかなくなった。

逃げ切りか、チクショウ。


勉強は、もはや自分の努力なしには伸びないから、そういう意味では公平になった。


数学、理科は俺の勝ち。

国語、社会は猫部の勝ち。

そして英語……

英語は猫部の圧勝だった。


クソ!勝ち切れない!



さらに、クラスの人気女子として猫部は君臨していた。

女子の意見をまとめあげ、代弁する。

”リーダーシップ”だ。

将来、政治家にでもなるつもりか。


俺は中1から生徒会に入り、中2で副会長、中3の今は生徒会長だ。

これも猫部をいつか押さえつけるためだ。

にも関わらず、クラスの男子も一部猫部派だった。


なんなんだ!

あの女の何がそんなにいいんだ!



俺は、自分だけの内に秘めたこの仁義なき戦いに、仲間を作ることにした。

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