サイコ・ストーカー

天川裕司

サイコ・ストーカー

タイトル:(仮)サイコ・ストーカー


▼登場人物

●小田切義人(おだぎり よしと):男性。30歳。サラリーマン。まぁまぁイケメン。

●折原静香(おりはら しずか):女性。37歳。義人の同僚であり元カノ。その後、会社を辞めて夜の店で働く。独占欲が強い。ストーカーとサイコパスの気質を併せ持つ。

●警察:一般的なイメージで。


▼場所設定

●義人のマンション:都内のマンションのイメージで。5階に住んでいる。

●街中や会社内等、もし必要でしたら一般的なイメージでOKです。


NAは小田切義人でよろしくお願いいたします。

(イントロ+メインシナリオ+エンディング=4218字)



イントロ〜


皆さんこんにちは。

今回は意味怖ではなく、普通のホラーストーリーです。

或る事件を元にした怖いお話で、ベースはストーカーとサイコパス。

ヒトコワ系の話にもなりますが、

実際にこんな事は日常でも起こるかも知れないので、充分注意をして下さい。



メインシナリオ〜


俺の名前は小田切義人。

今年30歳になる、まぁどこにでもいる普通のサラリーマンだ。


義人「はぁーあ。今日からまた仕事かぁ。休み明けの仕事ってダルいよな」


いつものように会社に向かおうとしたところ…


ト書き〈着信〉


義人「ん?誰だよこんな朝っぱらから…。あ、コイツ」


電話をかけてきたのは元カノの折原静香(37歳)。

俺より7つ年上の会社の同僚。


義人「ったくアイツ、もう掛けてくんなって言っといたのに!」


俺は静香から掛かってくる電話を取らない。

そう、俺達はもう2ヶ月前に別れていたのだ。

なのに最近、また頻繁に電話をかけてくるようになった。


ト書き〈交際当時の回想シーン〉


飲み会や2人でどっかへ行ったりする内に、俺達は自然に付き合った。

それから俺のマンションで同棲し始め、2人の生活も自然に始まった。

静香には合い鍵を渡し、

自分のアパートとこのマンションを自由に行き来できるようにしておいた。

でも付き合う内に、静香の本性・異常性が暴露され始めた。


静香「義人!この電話、誰からなのよ!女から掛かってきてんじゃない!」


義人「え?誰ってお前、これ企画部の宮島さんだろ。お前も知ってるだろ」


静香「フン!どうだか。仕事に託けて、その人と付き合ってんじゃないの?」


義人「は…はあ?!何言ってんだよお前」


(別日)


静香「ちょっと義人!このパソコンの画像、一体なに?!なんでこんなモン見てるのよ!私ってモンがありながら、こんなの浮気と一緒だよ!」


これは友達のシワザ。

昨日うちに来て、俺のパソコンで勝手にアダルトサイトをダウンロードした。

それが残っていたのだ。


義人「これは佐藤が勝手にやったんだよ!ほら昨日ウチに来てたろ?あいつなんかパソコンでカシャカシャやってたんだよ!それが残ってたんだよ!」


静香「自分のしたこと棚に上げてゴチャゴチャ言ってんじゃねーわよ!」


俺は基本的にアダルトサイトもDVDも殆ど見ない。

パソコンのサイトも俺がダウンロードしたものじゃない。

でも何を言っても通じなかった。

最近では仕事上の付き合いでも、静香はこんな風に疑ってくる。

正直、俺はもうコイツに付いて行けなくなっていた。


ト書き〈別れを決意〉


そんな或る日。

俺は遂に静香にキレた。

そして別れを切り出した。


義人「おまえフザけんなよ!なんで裕子ちゃんにあんな事したんだよ!」


静香「あの女が勝手にアンタと喋ってたからよ!あの女、アンタに気があるに違いないわ。不要な女(め)は早めに摘んどけって言うでしょ!だからよ!」


その日、俺は会社で普通に同僚の華原裕子と喋っていた。

それを陰から覗いていたのだろう静香は、

俺と喋り終えて階段を降りていた裕子を、

後ろから思いきり突き飛ばしたのだ。

幸い軽い捻挫で済んだから、裕子も訴えるなんて事はしなかったが、

一歩間違えば大怪我、いや殺人にもなり兼ねない大惨事だ。


義人「あんな事して1つも悪いと思わないのか!お前、傷害罪で訴えられてもおかしくないんだぞ!」


静香「人のモン横取りする方が悪いの!あの女が無神経だからダメなのよ!」


義人「本気でそんなこと言ってんのかお前…」


もう呆れ果てた。

コイツには常識ってもんが無い。

自己中・我儘…いやそれを通り越して、サイコパスの性格・思想の持ち主だ。

それがはっきり分かった。


義人「もういい…お前とは別れる」


静香「は?何言ってんの?全部アンタの為にしてあげたのよ。なんで私が責められなきゃなんないのよ」


義人「うるせぇ!全部お前の為だろ!もうお前とは金輪際、関わりたくねぇ!とっとと失せろォ!」


静香「きゃあ!ちょっとやめてよ義人!」


俺は静香から合い鍵を奪い取り、そのまま部屋から追い出した。


義人「もうこれからは2度と俺に干渉すんな!関わるな!お前のその異常な性格や考え方に付き合う気は金輪際ない!」


すると静香は幼児のように大泣きし…


静香「うぐぐ〜〜〜!わかったわよ!2度とお前のトコなんかに来ないわよ!この変態!浮気性!気持ち悪い強姦魔ァ!!」


ここはマンション5階。

静香の声は隅々にまで響き渡り、俺はひどい迷惑を被った。

静香は俺と別れてからすぐ会社を辞めた。


ト書き〈2ヶ月後〉


それからずっと連絡が無かったのだが、

ここ最近になり、急にまたアイツは俺に電話をかけて来るようになった。

しかも連続で。


義人「くっそ!もういいや。無視無視」


俺はとにかく電話を取らない事で意思表示をした。

でも頻度が増すと、そうも言ってられない。


ト書き〈堪りかねて電話を取る〉


義人「もう掛けてくんな!」


静香「ねぇお願い!もう1回寄りを戻そうよ!」


何度も何度も同じ事を言う。


義人「…もういいよ。頼むから俺に関わらないでくれよ…」


静香「…何回言ってもダメなのね…そう、じゃぁ義人は私に死ねって言ってるのね?私アンタと付き合えなきゃもう死ぬわ。死んでもいいのね?」


義人「はぁ?何言ってんのお前」


静香「だからアンタと付き合えなきゃ、私死ぬって言ってんのよ!」


どこまでも、自分の思い通りにならなきゃ気が済まない。

正直、思いを寄せられる事は嬉しいが、ここで復縁すれば同じ目に遭う。

暫くでも付き合ったから、それが実感としてよく分かった。

そして…


義人「あっそ。じゃあ死ねよ。俺はお前がどうなろうが痛くも痒くもねえからよwそんなふうにして構って欲しいんなら、友達んとこに電話しろよ!」


と思い切って突っぱねた。


ト書き〈侵入している〉


それから数日後。


義人「ふぅ〜今日も疲れたなぁ。さて、ビールビール♪」


会社から帰ってきた時。

また静香から電話が掛かった。


義人「ンだよ!またアイツかよ」


俺は何度も電話を切ってやった。

でも1秒経たない内にかけ直してくる。


義人「もうダメだなぁこれ、電話買い換えよ」


電話を買い替える事を前提に、俺は最後と思い電話に出てみた。


静香「…どうして出てくれないのよォ…!」


アイツは既に泣いている。

ちょっと可哀想に思えたが…


義人「もう頼むよ。俺たち別れたんだ。1度でも付き合った相手ならさぁ、相手の迷惑にならないように、引き際にはさっと立ち去るのがルールだろ…」


静香「…わかったわよ。やっぱり私に死ねって言ってるのね…いいわよ。アナタの目の前で死んであげるから。その代わりちゃんと見守っててね…」


前と同じ繰り返し。


義人「もう頼むからそんなこと言うのやめてくれよ…」


その時だった。

風呂場の方からゴトンと音がした。

結構大きな音だ。


義人「な、なんだ?」


俺はすぐ風呂場に行った。

そして中を見た時、背筋がゾッとした。


静香「そこで見てなよ!私ここで死んでやるから!」


なんと静香が居る!

静香は持っていた果物ナイフで自分の両手首を切り、

浴槽に貯めた水に浸らせ、こっちをジッと睨んでいた。


義人「な…何やってんだこんなトコでお前!お前、一体どうやってここに入ったんだ!?」


俺は静香を抱え上げ、風呂場から出、すぐリビングへ連れて行った。

幸い手首の傷は浅く、血はすぐに止まった。

取り敢えず病院に電話し、今からでも診て貰えるか聞こうとした。

その直後…


義人「うぐっ!」


静香の様子を伺おうと振り向いた瞬間、

静香は持っていた果物ナイフで俺の胸を突き刺した。


義人「お…お前…何…を…」


静香「こうすれば義人はもう誰の手にも入らないわ。ごめんね。どうすればアナタを私1人だけのモノに出来るかって考えてたの」


静香「で、アンタの後ろ姿を見てる内にさ、『刺したらどうなるんだろう』って思ったのよ。ンでちょっと刺してみたってワケ」


義人「な…何言って…んだ…お前…」


俺は病院に電話するのをやめ、すぐ警察に電話した。


義人「血が…血が止まらないんだぁ!」(警察に言う)


ト書き〈逮捕〉


義人「うくぐ…」


俺は胸から流血したまま、ずっとリビングに倒れていた。

静香はキッチンの椅子に座りながら、ずっと呻いている俺を見下ろしていた。

そして何を思ったか…


静香「あ、もうこんな時間。仕事行かなきゃ。ってかまだご飯食べてなかったっけ。えーっと何かないかなぁ、あ、菓子パンみっけ」


静香は俺の菓子パンをテーブルに見つけ、

それをパクパク食べてから出て行った。

どうも静香はあれから夜の店で働いていたらしい。


でも静香が俺の部屋を出た頃には、既に警察がマンションの下に来ていた。


警察「あのちょっとすいません。それ何ですか?その顔に付いてるもの。あと服にも付いてますね?」


静香の顔とブラウスのカフスの所に、俺の返り血が付いていた。


警察「これ、血液じゃないですか?あなたもしかして、ここに住んでられる小田切義人さんと同棲してる方じゃないですか?」


静香「ええそうですが。彼、もう部屋で死んでるかも知れません。あの今からちょっと仕事なんで、急いでるんでどいて貰えませんか?すいませんけど」


静香はその場で逮捕された。

俺はそれからすぐ病院に搬送され一命を取り留めた。


ト書き〈後日〉


まだ交際当時。

静香は俺が渡した合い鍵と俺の部屋のオリジナルキーとをすり替えていた。


それで別に合鍵を作り、あの夜、俺の部屋に侵入していたのだ。

そして風呂場に身を潜め、そこから俺に電話を掛けていた。

果物ナイフは自分の家から持参した物。


静香は本当に俺の部屋で自殺しようと試みていた。


でもそのうち気が変わり、

「自分の彼氏(もの)を誰にも奪われないようにしよう」

と思ったらしく、電話をかけていた俺を刺した。

他の誰とも付き合えないようにする為に。


自分の愛する彼氏でさえもコイツは、

「自分の所有物」

程度に見ていたわけだ。



エンディング〜


はい、ここ迄のお話でしたが、皆さんいかがでしたか?

実はこのお話、実際にあったニュースを元にしたものです。


初めは、

「どこにでもいる普通の女」

と思って付き合ったその相手が、実は奥深い、

サイコパス的気質を備えた恐ろしい女だったと主人公は気づきます。


「付き合う相手を選ぶ事が大事」

こんな事をよく言いますが、実際付き合ってみなければ、

その相手がどんな人なのかなんて絶対判りませんよね。


この物語の恐ろしさはそこにあります。


「ストーカーとサイコパスの合わせ技」

最恐とも言えるお話ですが、

これが実際、現実の世界にあると言うのですから、

なんとも恐ろしい事ですよね。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=UijaduYfM6Q

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