夢のつづきを見にいこう

羽藏ナキ

第一章 ギタリスト

憂鬱なメール

 出かけようとしてカーディガンを羽織るとスマホが振動し、僕は大きくため息をついた。そして、迷わずジーパンのポケットの中ではなくローテーブルの上のスマホに手を伸ばした。そのスマホはプライベートで使っているものではなく会社から支給されたもので、ロック画面を開くと部長からメールが来ていた。


『明日の会議は8時から行います。各自、報告内容をまとめて発表できるようにしておいてください。』


 その内容に再びため息が漏れる。

 うちの会社の始業時間って八時三十分のはずだよなぁと思いながらも、すでに決定事項で逆らうことはできないので、僕は手早く『承知しました。』と打って返信する。

 メールアプリを閉じホーム画面に戻ったところで、表示された日付が目に入り手が止まった。

 3月31日 日曜日。

 次の瞬間、もやもやと嫌にリアルな想像が頭に浮かんできた。僕はそれを振り払うように画面を閉じ、スマホをベッドに放り投げた。

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