エロゲの無能悪役皇子に転生した俺、原作知識で推しの負けヒロインを救うために暗躍していたら、うっかり主人公から帝位を奪ってしまう。俺は皇帝になりたくないのに~

水間ノボル@『序盤でボコられるクズ悪役貴

第1話 エロゲの無能悪役皇子に転生してしまう

「今年も成績トップか……さすがダスト! それに比べてお前の兄は――」


 目が覚めると、俺の目の前には、豪華な料理が並んでいた。

 まるで王族か貴族の晩餐会みたいな……

 俺はふかふかの椅子に座っている。

 王冠を被った皇帝ぽっいオッサンと、隣にいる皇妃ぽっいオバサンが正面にいた。

 左右には、俺と隣に男の子が2人、向かい側には女の子が3人いる。

  

「おい! ルクス! 聞いておるのか……っ! お前は弟を見習えっ!」


 皇帝っぽいオッサンが俺を見てキレている……?


 (あれ……? この光景、どこかで見たことあるような……?)


 18禁エロゲの「シャイニング・タクティクス」にあるシーンだ……

 皇族一同で集まっての晩餐会——

 さっき皇帝は、俺のことを「ルクス」と呼んだ。

 つまり、俺は、シャイニング・タクティクスの「ルクス・エクス・アルトリア」に転生したらしい……


「ブタのように醜くなりよって……っ! この皇族の恥晒しがぁ!! 」


 (マジかよ……よりにもよって、ルクスに転生してしまうとは……)


 ルクス・エクス・アルトリア。

 アルトリア帝国の第1皇子だ。

 しかし第1皇子ではあるものの……典型的な「ダメ皇子」なのだ。


 「ブタ皇子」

 「無能皇子」

 「皇族の恥部」


 と呼ばれ、見下されているキャラだ。


 「ざまぁ対象」で、優秀な弟である第2皇子――ダスト・エクス・アルトリアに嫉妬しまくる。

 それでダストを陥れようとするが、失敗して皇族の身分を剥奪される。

 最期にはキレた民衆にボコられて死ぬ……

 悲惨な死に様だ――


 ……このゲームは、主人公のダストが帝位争いをしながらヒロインたちと恋愛をしていくストーリー。

 アルトリア帝国は実力主義を国是としている。

 1番有能な人間が、皇帝になるのがルール。


 ヒロインは3人いて、第2皇女のクリスティア、勇者爵家のセシル、聖女爵家のアリアだ。

 第2皇女は今、俺の向い側に座っている女の子。

 薄桃色の髪に、鳶色の大きな瞳――優しい性格で、民衆から人気がある。人心掌握術に長けている。見た目はかわいいが有能な政治家だ。

 勇者爵家のセシルは、勇者の血筋に生まれた姫騎士。

 聖女爵家のアリアは、聖女の血筋に生まれた聖属性魔法の使い手。

 主人公のダストは3人のヒロインの1人を選んで、帝位争いを戦っていくのだ。

 クリスティアは同じ皇族だが、好感度を上げればダストを皇帝にするために暗躍してくれる。

 セシルとアリアの好感度を上げれば、戦闘パートで味方になってくれる。


 (ヒロイン3人とも、かわいいんだよな……)


 俺はシャイニング・タクティクスのファンだ。

 かなりやり込んだプレイヤーだと言っていい。

 イベントシーンは全部コンプリートしたし、声優さんのドラマCDも持っている。

 ……うん。たしかに、ヒロインの3人は人気だ。

 俺も3人のかわいさを認めよう。

 だが、俺の一番の「推し」は――

 俺の斜め向かいに座っている……第3皇女のフェリシアだ。


 (フェリシアこそ至高だ……)


 銀髪に青い瞳で、控えめな性格。

 ざまぁ対象のルクスに転生したのは残念だが、フェリシアたんを拝めたから「すべて良し」

 だが、フェリシアたんはいわゆる「負けヒロイン」だ……

 主人公のダストが好きなのだが、その想いは実らない。

 それどころか、最後に第1皇女のアリスに暗殺されて死んでしまう。

 健気に兄である主人公を慕う様に、俺は心臓を撃ち抜かれた。


 (フェリシアたんを救いたい……っ!)


 俺はフェリシアたんに熱い視線を送る。


「ルクスお兄様。どうかされましたか……?」

 引きつった顔で、俺を見るフェリシアたん。

 まるで小動物のように、すごく怯えた様子だ。


 (嫌われてる……!)


 ――そうだ。無理もない。


 俺は無能皇子のルクスだ。

 獣人の奴隷を虐待する最低なキャラ。

 皇族の権力を笠に着るクズ野郎。


 うん……フェリシアたんから嫌われていても当然だ。


 (このままじゃ……俺もフェリシアたんも破滅だ)


  いったいどうすれば……?


 ――そうだ!


 フェリシアたんを皇帝にすればいい。

 俺(ルクス)は、すでにダメ皇子の烙印を押されている。

 すでに帝位争いから脱落したのも同然だ。

 だが……フェリシアたんには可能性がある。

 優しい性格のフェリシアたんは、原作では帝位争いに参加しなかった。

 しかし皇族である以上、何もしなくても帝位争いに巻き込まれてしまう。

 実際、第1皇女のアリスから狙われたわけだ。

 フェリシアたんが皇帝になれば、この世界も平和になるに違いない。

 決めた。

 俺がフェリシアたんを皇帝にしよう。

 それが俺とフェリシアたんが破滅を回避する、唯一の方法だ。


 (よし……それなら)


 まず……俺自身が強くならないといけない。

 強くなって、フェリシアたんを影から支えるのだ。


「そのために……まずは魔法の修行をしないとな」



―――――――――   

《大切なお知らせ!》


少しでも面白いと感じてくださったなら、ぜひ今のうちに何卒フォローをお願いしますm(__)m


※目次ページの「フォローする」ボタンを押せばフォローすることができます。


たった数秒で終わる操作ではありますが、何卒よろしくお願い致します!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る