家族で異世界転生したが方向性の違いにより解散した

砂歩

解散

気付くと橋本家は広大な大地の真ん中にいた。

どこまでも続く草原には見た事もない動植物が多数生息しているのが伺える。

軽く動いてみると身体も軽く、今なら学校で自分を虐めて来ていた奴らも、瞬殺出来そうだ。こんな状況でもそんな事を考えてしまう自分の小ささには、目をつぶろうと思う。それともこんな状況だからこそ、なのだろうか。

ここは、明らかに地球ではない。

それならここはどこなのか、と言われれば分からない。

ただ、先程から妹の雪姫(ゆきひめ)が、尻尾が3本生えている犬を追い掛け回している事から、俗に言う異世界転生をしたのではないか、とアタリをつけている。

妹の雪姫はとにかく好奇心旺盛で、正義感が強く負けん気も強い。家族という贔屓目なしにみても整った顔立ちをしているのに、彼氏の1人も出来ないのは、気の強さが原因だろう。

そんな雪姫に対して父である夏彦が、危ないから辞めなさいと声をかけている。

父の夏彦は雪姫とは正反対の性格で、とにかく気が弱く慎重な性格だ。20年間営業の仕事をしている、一家の大黒柱だ。

そんな2人のやり取りを一切気にせず、体調1m程の蜥蜴の頭を撫でているのが、我が母で、橋本家で怒らせてはいけない人間NO.1の櫻子だ。

見た目は、大和撫子という言葉を具現化したら、櫻子になるのではないか、と言ったような見た目をしている。

だが、そんな見た目に騙されてはいけない。いけないのだ…。

ちなみに騙されたのが父である、夏彦だ。まあ、そのお陰で俺や雪姫が産まれたのだから、感謝はしている。

そして俺が雪姫の兄にして夏彦と櫻子の息子である秋人(あきと)だ。年齢は17歳の高校2年生。

ちなみに妹の雪姫は2つ下の15歳。夏彦が42。櫻子が38だ。

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