セレスティア冒険録

あるる

第1話 ダンジョン都市エレンディルの日常

ダンジョンには猛威を振るうモンスター、様々な遺跡や遺物があり、更には新しいダンジョンも増えては消える神秘と生命に溢れる創世神セリスの加護を受けた大地セレスティア。


大小の国々があり、多くの都市の中の1つ地方都市エレンディルは今日も多くの商人や冒険者で賑わっていた。

近くにランクの違うダンジョンが複数ある、いわゆるダンジョン都市のひとつであり、難易度が高すぎないため若手~中堅の冒険者が多い。

山間の開けた位置、更に港まで持つエレンディルは冒険者を顧客とする商店やギルド、ダンジョンからもたらされる素材を目的にした商人や貴族さえも集まる巨大な都市となっていた。


港町にして、ダンジョン都市でもあるエレンディルの賑やかで明るい一日は、冒険者ギルドに響き渡る女性の怒鳴り声で始まった。


「あんのっ・・・・・・、大ばっかたれぇーーーーー!!!!」


ぜえ、はあ、と息を乱しながら、怒りに拳だけでなく、豊かな尻尾の毛も逆立てて猫獣人の女性冒険者は顔を真っ赤にしつつ全身ぷるぷる振わせていた。


「どうどう、ミーヤ」


「どうどう、じゃなーいっっ!!

 また、なのよ! また!!! あんのアホッ」


「まあ、気持ちは分かるけどねぇ~」


ミーヤと呼ばれた冒険者をなだめるのもまた、麗しい黒髪を緩くまとめて眼鏡をかけた人族の女性冒険者だった。


「じゃあ、ミーヤはどうしたい?」


「へっ?!」


「あいつ、レオ・・・ 捨てちゃう?」


ちょっと意地悪な笑みを浮かべて言う黒髪の女性にミーヤは動揺した後に赤面して、しゅんと小さくなってしまう。

傍目にもそんな気はないのが分かる、と言うよりこの時点でようやくいつもの痴話喧嘩である事が判明して、冒険者ギルド内はホッとした空気となり、いつもの賑やかさを取り戻していく。


「ティアのいじわるぅ~~~」


半泣きにミーヤをいじりつつ、宥めつつ、遊んでるティアと言う女性はイイ性格をしている事で有名な魔術士だ。

多彩な魔術を扱う上に火力も高く、臨時でのパーティーを組むことはあっても基本はソロなのでいつも引手あまたの高ランク冒険者でもある。


かく言うミーヤも、近接のできるヒーラーと言う珍しいスタイルの冒険者で、こちらもティアほどでは無くとも高ランクの冒険者かつクランリーダーだ。


ミーヤは生来の面倒見の良さと、人懐っこさで親しい友人と共にクランを経営している。

大手ではないが信頼のある中堅クランで、ミーヤ自身はクラン経営をしつつ自身もパーティーを組んでダンジョン攻略を行っている。

彼女のクランメンバーにも攻略組もいるが、ギルド依頼の採集や討伐依頼をマメにしてくれるメンバーも居てギルドにとっては頼りになるクランであると言って過言ではない。


そんな冒険者たちが集まる街で、今日も冒険者たちは賑やかに好き好きに過ごしている。

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