第12話 新たなる決断
都市の門前で、アキラとリュウは冷酷な現実に直面していた。彼らが望んだ助けは、消えてしまった小国と共に失われ、目の前に立ちはだかるのは帝国の厳しい門番だった。
門番の兵士は冷たく言い放った。
「ここに入るためには、戦える者は帝国に仕えることが条件だ。それが嫌なら、ここに入ることは許されない。」
村長は苦しそうな表情を浮かべ、村人たちは動揺と不安で顔を曇らせた。彼らの中には、ここまでの過酷な道のりで疲れ果てた者や、病に倒れそうな者もいた。アキラとリュウはその姿を見て、胸の奥に重いものを感じた。
リュウが低い声で尋ねた。
「アキラ、どうする?」
アキラは拳を握りしめ、視線を落とした。
「村人たちを助けるためには、俺たちが帝国に仕えるしかないのかもしれない。でも、自由を失うことになる…」
村長は二人に歩み寄り、疲れた目で語りかけた。
「君たちに強制するつもりはない。ここまで守ってくれただけで、私たちは感謝している。」
村人たちもまた、静かに二人を見守っていた。彼らの目には希望と絶望が交錯していた。アキラとリュウがどう決断するかに、自分たちの未来がかかっていることを理解していた。
アキラとリュウは少し離れた場所に移動し、深刻な表情で話し合った。
「リュウ、どうするべきだろうか?」
アキラが問いかけると、リュウはしばらく黙った後、深く息を吸い込んで答えた。
「俺たちは戦士だ。村人たちを見捨てることはできない。もし帝国に仕えることで、彼らが安全になるなら…それしかない。」
アキラは悩みながらも、リュウの言葉に同意するように頷いた。
「分かった、リュウ。俺たちは帝国に仕えよう。ただし、避難してきた村人たちを助けてもらうように頼もう。」
二人は決意を固め、再び門番の兵士の前に立った。
「帝国に仕えることを誓います。ただし、私たちの村人たちを助けてもらいたい。」
兵士は冷たい目で二人を見つめた後、頷いた。
「分かった。村人たちは都市内で保護する。ただし、お前たちは直ちに帝国の兵士としての任務を果たすことになる。」
村長は安堵の表情を浮かべ、深く頭を下げた。
「ありがとう、アキラ、リュウ。君たちのおかげで、私たちは救われる。」
アキラとリュウはそれぞれの武器を握りしめ、新たな覚悟を胸に抱いた。村人たちを守るための選択は、彼らの自由を奪うものだったが、その代償を受け入れることに決めた。
都市の門が開かれ、村人たちは疲れた体を引きずりながら中へと進んだ。アキラとリュウは彼らの背後を守りながら、新たな運命に向かって歩みを進めた。彼らの前に広がるのは、帝国の厳しい現実と未知の試練だった。
アキラはリュウに目を向け、静かに語りかけた。
「これから先、何が待っているのだろうな。」
リュウは微笑んで答えた。
「何が待っていても、俺たちは戦い続けるだけだ。」
アキラも微笑み返し、力強く頷いた。
「そうだな、リュウ。共に戦い抜こう。」
彼らの決意は固く、どんな試練にも立ち向かう覚悟ができていた。
都市の中に足を踏み入れた瞬間、彼らの前には広がる新たな試練と、決して揺るがない決意があった。
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