第6話 師匠との特訓
アキラとリュウは、カイに連れられて村の外れにある開けた草原に来ていた。朝日が昇り始め、草原全体が黄金色に輝いている。カイはアキラとリュウに向かい合い、厳しい表情で話し始めた。
「今日からお前たちに本格的な訓練を施す。アキラ、お前はまだ未熟だが、その素質は確かだ。リュウ、お前はアキラの支えとなる存在だ。互いに助け合い、共に成長することを忘れるな。」
アキラとリュウはカイの言葉に頷き、それぞれの剣を構えた。カイはまず基本的な動きから始めるように指示を出した。
「アキラ、基本の動きをもう一度確認しろ。リュウ、お前はそれを手本として見せてやれ。」
リュウが前に出て、剣の基本的な構えと振り方を見せる。アキラはその動きを真似しながら、自分の剣技を磨いていった。カイは時折、アキラの動きに対してアドバイスを送りながら、細かい修正を加えていった。
カイが厳しい声で指摘する。
「アキラ、もっと腰を落とせ。剣を振るときには力を抜き、スムーズに動かすんだ。」
アキラはカイの指示に従い、何度も基本の動きを繰り返した。リュウもアキラの動きを見守りながら、自分の技を見直していく。
数時間が経ち、カイは次の段階に進むように二人に指示を出した。
「次は実戦形式だ。リュウ、お前がアキラに攻撃を仕掛け、アキラはそれを防ぎ反撃する。互いに全力を尽くせ。」
リュウがアキラに向かって攻撃を仕掛けた。アキラはその動きを見極め、剣を振るって防御し、素早く反撃を試みる。しかし、リュウの攻撃は速く、アキラは何度も防御に徹することになった。
カイが見守りながら指導する。
「アキラ、防御だけでは勝てない。反撃のタイミングを見つけるんだ。リュウ、お前も手加減せずに攻め続けろ。」
リュウの剣がアキラの剣を弾き飛ばし、アキラは咄嗟に身をかわして距離を取った。息を整えながら、アキラはリュウの次の動きを見極める。リュウが再び攻撃を仕掛けると、アキラは素早く反撃に転じた。
リュウの剣を払いのけ、アキラは一瞬の隙を突いてリュウの肩を軽く打ち込んだ。リュウは驚いた表情を浮かべながらも、すぐに笑顔を見せた。
「やったな、アキラ。その調子だ!」
カイも満足そうに頷き、二人の成長を見守っていた。しかし、突然、カイの表情が曇り、遠くを見つめた。
「二人とも、今日の訓練はここまでだ。」
アキラとリュウは驚いた顔をしてカイを見た。
「どうしたんですか、カイさん?」
カイは重々しい口調で答えた。
「緊急の用事ができた。すぐに村を離れなければならない。お前たちはここで訓練を続けてくれ。私が戻るまで、決して油断しないように。」
アキラとリュウは不安な表情を浮かべながらも、カイの言葉に従った。
「わかりました。カイさん、気をつけて。」
カイは頷き、二人に背を向けて歩き出した。アキラとリュウはその背中を見送りながら、心に強い決意を固めた。カイがいなくても、彼らは村の平和を守るため、全力を尽くす覚悟を決めていた。
アキラは剣を握りしめ、リュウに向かって言った。
「リュウ、俺たちでこの村を守ろう。カイさんが戻るまで、全力で訓練を続けるんだ。」
リュウはアキラの言葉に頷き、二人は再び剣を構えた。草原に響く剣の音が、彼らの決意を象徴していた。カイの不在を乗り越え、アキラとリュウはさらなる成長を目指して訓練を続けるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます