第27話 スク水
魔法契約書
1. 梨本光希、
2. ササノ・ツバキは1を達成するために戦闘、情報提供、魔法支援など、必要とされる全ての協力をする。
3.1.を達成したあと、ササノ・ツバキは梨本光希のパーティメンバーが地上に生命の危機に瀕するような負傷や精神的な崩壊がない状態で地上に帰還することに協力する。
4.水無月凛音の魂とその依代となる『
5.梨本光希、
6.契約者が本契約に違反した場合、その者は即座に以下の罰則を受けるものとする。
・固有スキルの十年間の剥奪(梨本光希の『鼓動の剣』、
7.契約者がこの契約を意図的に曖昧に解釈する行為は禁止される。これに違反した場合も6の罰則を受ける。
8.1を達成し、梨本光希、
:パックス〈さあこんなもんでどうです? 俺は本職弁護士だから契約書作成とミシェルのお尻の形にはくわしいんだ〉
コメント欄の専門家に意見を聞きながら、俺達は契約書を作成した。
リュックの奥につっこんであった魔法用途の大きい羊皮紙に油性ペンで以上のことを書きなぐる。
「えー。それ、スク水の名札に名前を書くときのペンだろ……もっとこう、羽根ペンとかいいの、なかったのかい?」
ツバキが不満そうに言う。
「なんでスク水限定なんだよ。あと、35年前に死んだツバキは知らないだろうが、もうスク水は絶滅した」
「な……! な……! ……人類はなぜ自分以外の存在をいとも簡単に絶滅させることができるのだろう……残酷だよ」
それを聞いてミシェルがその美しい銀髪をかき上げて言った。
「マニア向け専門店でまだ売ってるぞ。私が着てやろうか?」
「結構だよ、でかい胸のスク水は解釈違いだ」
「それがいいんじゃないか……。ところで5の条項だが……。私はマスターに
「そもそもそれは日本の法律違反なんだがな……」
光希は渋い顔をして言う。
合法的に
いたずらにモンスターを虐待すると懲役五年以下の刑罰がある。
:パックス〈自己又は他人の生命、身体、自由、名誉、又は財産に対する現在の危難を避けるためやむを得ずした行為は、これを罰しない、と刑法にあります。命の危機が迫っていて緊急避難的に行うなら問題ないでしょう〉
「そんなことができるならダークドラゴンに襲われたときにやればよかったじゃないか」
ツバキが言うと、
「……そんな暇はなかった。あのときはまさに急襲されたからな」
ミシェルが悔しそうにそう言い、光希もぼそっと言った。
「だいたいその話題になると凛音が激怒していたからな。『そんなつもりでミシェルを仲間にしてるんじゃない』ってな」
魔法契約書を床に置き、みなで輪になってそれを囲む。
ドローンカメラでそのようすを配信して、視聴者にも見届人になってもらう。
全員で静かに詠唱の言葉を口にする。
「天、地、太陽、月、星たちに誓う。我らこの書の契約を遂行することを誓う。我らが約定の信念を見よ。破りしものはこの書の通りの罰をうけるだろう――」
魔法契約書が発光し、その光が光希たちをつつんだ。
これで魔法契約は完了だ。
パーティは一つの目的にむけて突き進むことになった。
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