第２章２話 即席チーム
リーシャさんとエリスの二人と合流した俺たち。依頼先の集落に向かう前にお互いの装備や荷物を確認し合うことにした。
「そういえば一緒に依頼をするのは初めてだな。俺は武器を使わない。火属性の魔法を使って接近戦を得意としている碌な装備はなくて道具は剥ぎ取り用のナイフと簡易テント。それから多少の工具だ」
俺が答えると次はルーナだ。
「水属性の魔法を使えます。魔法使いでロッドを使って近接もできます。エリスちゃんは戦ったことあるよね？ 小道具は…………ない」
「あの時は体力を消耗していたのと、隷属の刻印で行動制限されてたから負けたけど、ルーナちゃんは水属性魔法の使える範囲は広くて応用が利きますよね」
ルーナとエリスはそこそこ仲が良いみたいだ。そしてエリスが装備を披露してくれた。
「では次は私ですね。武器は銃で所持数は五丁です。二つは軽量のハンドガンで一つは大型のライフル。最後の二個は袖に入るサイズの奴を二つ袖に装備してます。一応剥ぎ取りナイフがりまして、少し長めで近接にも使えるものとなります。それから銃のメンテナンス用に工具を持ち合わせています！」
エリスは銃を五つも持っていたのか。属性魔法を使っていなかったし、戦闘ではあまり魔法を使わないのだろう。そしてリーシャさんの番だ。
「私の武器は見ての通りこの大槍だ。刺突攻撃に特化しているように見えるが、シャフトの部分で殴打することもできて、アクイラや魔獣を殴ることもできるんだ。軽装なのは突進の速度を上げるためだ。野営道具や薬草などを持ち歩いている」
俺たち傭兵が来ている衣服は魔法で練られた特別製で金属の鎧を使われる時代は終わった。そのため、リーシャさんも鎧でおっぱいや太ももを覆う必要がない！ たまに、金属の鎧に更に魔法をコーティングする重武装もあるが、重すぎるので女性傭兵には不人気だ。
とにかく魔法技術のおかげでリーシャさんはミニスカートなんだ。本当にありがとうございます。俺はニヤニヤしながら彼女の腰回りを見ていたら、ルーナが不機嫌になった。
「アクイラさん、鼻の下伸びてますよ？」
「え？ いやそんなはずないだろ？」
俺は慌てて否定するがルーナは冷たい目でこっちを見ていた。
とにかく互いの装備を確認できたので集落まで向かおうとしたところで魔獣の群れに襲われる。
黒と金のクワガタの魔獣。大あごから雷を出すその魔獣の名前は
「私が行こう！ 速さよ、我が足に宿りて迅速となれ。
リーシャさんが魔法を唱えた瞬間、彼女の足が光り出す。それと同時に槍を構えると凄まじい速度で突っ込んでいき一瞬で
「なら俺も行くぜ！ 食らいな！」
俺は手足を燃やし、
「撃ち落とします！！」
エリスがハンドガンではありえない乱射を見せて、
「なるほど、魔力を装填してるのか」
最終的には
強さに拘る訳ではないが、彼女の傭兵志願理由は過酷になっていくあの森で生活を続けることを主としている。やはり強くなりたいという気持ちはあるのだろう。
そう思い、心配しながら彼女の方を見るが、特に表情の変化はなく、大丈夫そうだ。戦闘が終わったことを確認した彼女はスタスタと俺のとこまで来て腕に抱き着く。
「どうした？」
俺がルーナに聞くと彼女は口先を尖らせて、顔を膨らませていた。
「アクイラさん、リーシャさんとエリスちゃんばっかり見てるもん」
否定はできない。戦闘状況の把握もあるし、乳揺れや太ももある。だが、俺はルーナの
俺はルーナを抱き上げて抱っこする。そして彼女の身体を撫でまわすが特に嫌がることはない。
むしろ彼女は俺の首筋に舌を這わせ、フェロモンを嗅いでいるようだった。これ以上はリーシャさんの怒っているような表情と、エリスの興味はあるけど見てはいけないといった感じのチラ見にさすがに俺も耐えられなくなり、ルーナを引きはがす。
引きはがす。そう思ったが、むしろ普段ない距離感が嬉しいのか一向に離れてくれない。
ルーナが満足するまでこのまま歩くことになり、ひとまず休めそうな場所で野営することになった。
「四人いるし睡眠は交代制で良いか？」
「異論はない」「私もそれでいいですよ」
「アクイラさんと一緒に寝ます」
一人絶対違う希望をあげている奴がいるな。体力も低く歩くだけで消耗の激しいルーナはずっと眠ることとなり、それ以外の三人で回すことにした。最初の番は俺がすることとなり、リーシャさん、エリスの順番で変わって最後はまた俺がやることになった。
「じゃあルーナとエリスはテントに入ってくれ。リーシャさんは俺の隣で何をされても動かな…………リーシャんさんもテントに入ってくれ」
槍で殴られる訳でもなく、槍の先を向けられた俺は途中まで言った提案をすぐに取り合下げて本来言おうとした言葉に言い換える。
テントに入っていった三人。それを見送りながら、焚火の前で座り、火が消えないように調整していた。
翌朝、夜の番でやや寝不足気味の俺と二人にぐっすり眠って万全のルーナ。
「おはよう！ ルーナ、水を貰えるか？」
俺はそう声をかけてから彼女は水筒に魔法で作った水を作り渡してくれた。俺はそれを飲むと少し休んだ後、テントをたたんで出発する準備に取り掛かったのだった。
「よしっ！行くぞ」
俺を先頭に隊列を組んで歩き始めたが特に何かが起こる事もなく順調に進んでいき休憩を挟みながら数時間後に森を抜けることができたんだ。そのまま道なりに進み続けていくとやがて目的の集落が見えてきた。
「ふぅー疲れたなぁ」
俺がそう呟くとルーナは俺の膝の上に座ってきたので頭を撫でてやると気持ちよさそうに目を細めていた。その様子を見た他の二人も羨ましくなったのか同じようにして俺に甘えるような仕草を見せてきたんだ。
そして集落に到着した俺たちは、まずは依頼もとである集落の里長に会おう。そして最初にいた人に声をかけた。
「すみません、傭兵ギルドから来た者ですが」
俺が話しかけると彼女はこちらを振り向いた。振り向いた彼女は茶色の髪と緑色の目していて、スリムな体型をしており、薄い緑色のシャツを着ている。袖口や襟元には風の模様が施されている。彼女の華奢な体つきがシャツによって強調され、活動に適した服装であることがわかる。茶色の短めのスカートを履いており、動きやすさを重視したデザインだ。腰元にはベルトを巻いており、ボウガンを携帯している。
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