実験用人工少女は開発者に恋をする
楠本恵士
第1話・人工少女は体に電流を流される
白いタイル貼りの実験室のような部屋─怪しげな機器からの電子音や、天井から滑車で吊り下げられた鎖も見える。
「では、これかおまえの体に高圧電流を流す、普通の人間だったらショック死をするレベルの電圧だ」
少し不安そうな表情で少女が言った。
「はい、よろしくお願いします」
絶縁金属製の実験ベッドの上には手足を、革ベルトで固定された全裸の美少女が、仰向けで横たわっていた。
体には電極の他に生体データを取る、絶縁コードが接続されている。
ベッドに横たわる美少女を作った──白衣コート姿の若い男が、感情が欠落した冷たい声で少女に質問する。
「おまえは、いったいなんだ……答えろ」
「あたしは……開発者の博士に作られた、さまざまな生体実験や人体実験を行う目的で作られた、実験用の人工少女です……人間ではありません、実験用のダミー人間です」
答えた少女の目に涙が浮かぶ。
狂気の白衣コート男は少女の涙を無視して、高圧電流発生装置のダイヤルに手を伸ばす。
「では、通常の人間が気絶するレベルの電圧から……歯をくいしばれ」
少女の裸体に電流が流され、人工少女の体が大きく
「いぎぃぃぃぃ!」
何度も腰を浮かせたり、沈めたりする少女の体から、血液以外の体液が飛び散って実験台を汚す。
「あぎぃぃぃぃぃぃ!」
男がダイヤルのメモリを上げる。
「次はショック死するレベルの電圧だ……耐えろ」
実験台に電流の火花が散り、背中を浮かせたままの少女は大きく両目を見開くと、顎をガクガクさせて体に流される電圧に耐える。
「あががががががっ!」
「これが、歯が飛び散り、眼球が飛び出すレベルの電圧だ」
頭と爪先で、ブリッジをしたままの少女の体が小刻みに震える。
「がはぁ、がはぁ」
少女の体から焦げた匂いが漂ってくる。
美少女の黒髪は電気で逆立っていた。
男がダイヤルを元の位置に戻すと、美少女は力が抜けたように、腰を実験台に落として「はふーっ、はふーっ」と呼吸を整える。
男は聴診器を少女の胸に当てると、心音を確認した。
「心音正常、よし心臓は動いているな〝高電圧の電流実験〟は終了だ」
革の拘束ベルトを外された、実験美少女が男に礼を言う。
「はふーっ、この体を実験に使っていただき。ありがとうございました」
「体を休めろ、明日は濃硫酸が入った水槽に、この体を漬けてみるからな」
「はいっ」
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