第28話 巨大迷宮 前編

さて、目の前に高層マンションクラスの壁でできてる迷路があるわけだが……これを見て『真面目に攻略しよう』なんて思う人がどれくらいいるのだろう。


「というわけで、二人に聞きたいんだけど…この壁壊せると思う?」


「…いやー無理でしょ…これは。

しいて言うなら、ルナちゃんの魔法なら穴くらいあけれるかもしれないけど…」


俺たちはさっきからずっとでかい壁を見ているルナを見る。


「……?どうかしたの?」


「なあ、ルナ…この壁に向けて思いっきり魔法をぶっ放してくれ。」


「うん!わかった!」


ルナはそう言うとここに来る前日に適当に作った杖を持ち、魔法の準備を始める。


「一応、何が起こるかわからないから注意してね。」


「うん。」

「わかった。」


俺たちがベリルの注意喚起に対して返事をするのと、ルナの上に氷の塊が現れる。


そして氷はどんどん大きくなっていき、最終的にはルナがスッポリ入るほどの大きな氷柱つららができた。


「〈アイシクル・ヒュージ〉!」


ルナがそう言いながら杖を振ると、氷柱がでかい壁に向かって飛んでいき、衝突する。


しかし、氷柱が壁に当たっても穴が開くことはなく、何なら砕けた氷柱の破片がこっちに飛んでくる。


俺は魔法を打った直後で素早く動けなさそうなルナを抱えて、飛んでくる破片を避ける。


「おわ、あっぶな……大丈夫か?ルナ。」


「うん、だいじょうぶ。」


…「…う~ん…ダメだったみたいね。」


俺たちとは逆方向によけたベリルが氷柱がぶつかった場所をノックしながらそうつぶやいた。


「そう見たいだな……なんか他にズルできそうなところある?」


「?まじめにやっちゃダメなの?」


……やめて、ズルしようとしてる人にそんな純粋な視線を向けないでくれ。


「まあルナちゃんの言う通り、これはまじめにやるしかないでしょ。

さっきの見た感じ、魔法に耐えたってよりは砕いて跳ね返したって感じだったからね…他にも何かあるかもしれないし、ここを造った人の趣旨と違うことは極力しないほうがいいでしょうね。」


ベリルが俺に正論パンチしながら迷路に入っていき、それにルナもついていく。


俺は早くも帰って釣りをしたいと思い始めている心をとりあえず奥にしまい込んで2人についていった。



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バカみたいにでかい迷路に入って、3人がまず思ったことは『ここ2階もあるのかよ…』というものだ。


外からはなぜか見えなかったが、上に天井があり、そして目の前に階段もある。


……これ、外の壁から考えて、下手したら10階くらいあるんじゃないか?


「…どうする?上るか?それとも1階のほうを探索するか?」


「う~ん…そうだね……1階のほうを探索しようか。

もしかしたら、なにかあるかも知れないしね。」


「なにか、おいしいものとかあるかな?」


「えっと、いや…まあ…それはあんま期待しないほうがいいと思うぞ。」


そんなこんなで、俺たちは1階の探索を開始した。



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迷路、それは侵入者を迷わせるために造られたもの……俺は今まさにそれを痛感している。


「ああもう!なんでずっと同じような壁がなんだよ。方向感覚が狂うんだわ!

…ていうか、ほんとになんもないじゃん。

もう、罠でもいいから変化が欲しい!」


「実、どうかした?頭でもおかしくなった?」


「………別に何でもない。」


「まあ、そう叫びたい気持ちはわかるけどね。

もう探索を初めて1時間は経ってるだろうし…私もまさかここまで何もないとは思わなかったからね。」


そう言いながらもベリルは疲れた顔を浮かべている。


ホント、感覚としては何もない真っ白の部屋に閉じ込められてるのと近いからな、ベリルも相当きてるらしい。


…まあ、ルナのほうは魔法で遊んだりしながら歩いているので全然大丈夫そうだが……。


『はあ、ホント何でもいいから何かないのか?』と俺が考えていると、ルナが何かを見つけたみたいで声を上げる。


「ねえふたりとも、あそこにトビラがあるよ。」


そうしてルナがある場所を指さすが、そこには扉はなく、ただ壁があるだけだ。


もしかしてルナも相当来てるのか?なんて思っていると、ベリルが目を丸くしてルナが指さした場所に向かう。


しばらくベリルが壁を触ったり、叩いたりしていると、いきなり壁がから扉が現れた。


「……え、何その扉?」


「どうも幻影魔法で隠されてたみたい。もしかしたら、今まで私たちが見つけきれなかっただけで他にもいろいろあるかもしれないね。」


「あー、たしかにとちゅうで剣とかなんかおおきなハコとか落ちてたかも。」


「………ルナ、そう言うことはもうちょっと早くいってくれ。」


「まあ、そこらへんのものは後で取りに行くとして、この扉、どうやら鍵がかかってないみたいなんだよね……どうする?入る?」


「……入るしかないだろ…魔法で隠されてたわけだし。」


「…じゃあ開けるけど、何かいるかもしれないから一応警戒してね。」


そう言うと、ベリルは扉をゆっくり開ける。


その部屋は今までの岩ばかりの壁とは違い、ここの入り口にあった『薄い青の水晶』で壁ができている。


そして、その部屋の中心には…俺と同じくらいの大きさの〈石像〉が鎮座していた。



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作者 超巨大迷宮…遊園地とかで絶対1個はあるよね。

女神 ああ、あの意外と楽しいやつね。

作者 …あれ?遊園地とか言ったことあるの?神様なのに…

女神 ちょっと黙ろうか。

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